購入価格 ¥16,329
今年、ブルベやツーリングに使用することを目的としたツーリング車を組んだ際に、カンチレバー台座に装着するブレーキとして選定し、使用しています。
通常のVブレーキよりもアームが短い、ミニV、ショートVなどと言われるブレーキの一つです。
国内代理店であるアキコーポレーションのサイトにある情報を見ると、79デュラ、67アルテのレバーの引きしろに対応している、という説明があります。
同じショートアームのVブレーキでも、シマノ製品は直接装着を推奨していない物がほとんど(互換品はない?)なので、ここは素直にうれしいところです。
この特性もあってか、シクロクロスでカンチブレーキが主流だった頃には、制動力を強化するパーツとして使われた事例が、いくつも出てきました。
●外観
パーツ本体は、アルミの削り出しそのまま、という外観で、2016年時点では、黒、赤、青のカラーバリエーション(多分、アルマイト)があります。
好みやフレームの色に合わせて製品を選べるのも、ありがたい所でしょう。
本体のエッジ部が、個体によっては、かえしでスパッと指が切れないか心配なくらいに、鋭く仕上がっています。
本当に指が切れたりはしないと思いますが、扱いには少々、注意した方が良いかもしれません。
また、非常にどうでも良い話ですが、個人的には、デザイン性で言えば、姉妹品のCX8.4の方が良いと思います(笑)。
●パーツ装着時の注意点等
ショートアームであるため、ブレーキワイヤーが通常のVブレーキよりもタイヤに近くなります。
私は今のところ大丈夫ですが(23C使用中)、あまり太いタイヤには対応できないかもしれません。
同様に、フェンダーも、物によってはワイヤーと干渉するかもしれません。
これはフレームやフォークの形状にも影響されると思いますので、現物合わせで判断するしかないでしょう。
なお、ショートVブレーキは、タイヤとのクリアランスが狭いので、車輪を外せず、輪行には使いづらいという話も散見されますが、このブレーキはワイヤーを外すと、シューが上向きになるほどレバーが開くので、クリアランスは十分に取れます。
ワイヤーを再度装着するのも簡単ですので、ランドナー等のツーリング車でも、制動力を高める装備として使えると思います。
また、このブレーキは、標準のブレーキシューの舟が、シマノのロード用パッドに対応しているため、消耗品をロードと共有できるのが、地味にありがたいところです。
試してはいませんが、標準のシューからMTB用のブレーキシューに交換することも可能だと思います。
●ブレーキの性能
以下の文章は、主にキャリパーブレーキ(67アルテ)との比較という前提で見てください。
まず、制動力ですが、文句なしに強烈です。
キャリパーブレーキが「スピードコントロール」だとすると、こちらはまともに「制動」ですね。
ショートアームとはいえ、さすがVブレーキです。
初めて使った時、車輪が簡単にロックしただけでなく、尻がサドルの上を滑ってトップチューブの上に落ちました。
これ、下手に全力で握ると、体が前に飛ぶか、前転するかもしれませんね。
また、「当て効き」から「制動」に至るレバーの余裕がキャリパーブレーキより少なく、「もうちょっと当てよう」と、ほんのちょっと引いたつもりが、ガクンと減速して驚かされます。
このブレーキの特性に慣れるまでは、コーナーを攻めたり、ブルベやツーリングでロードの皆様と車列を組んだりするのが恐ろしかったです。
まあ、私の後ろについていた人は、もっと恐ろしかったと思いますが……。
雨天時の制動性については、パッドの品質にも左右されると思いますが、キャリパーブレーキよりも強力でした。
ただ、リムが濡れているとパッドが滑る感覚があり、制動性能は落ちます。
過信しないようにしましょう。
●まとめ
カンチブレーキから、制動力を強化したいと考えている場合。
あるいは、これから一台、ツーリング用の車体を組むと考えた場合、お勧めできる製品だと思います。
ただし、制動力はキャリパーブレーキとは別物ですので、ブレーキの特性に慣れるまでは、無茶しない方が良いでしょう。
2016年8月現在、MTBやシクロクロスでは、既にディスクブレーキが主流になりつつあるので、この製品に限らず、Vブレーキ自体の需要が少なくなったと思われます。
この製品も、TRPのメーカーサイトでは、既にカタログ落ちしているようです。
まあ、このブレーキに対応する79デュラ、67アルテが既に型落ちで、これ以上、需要が増える余地がないので、仕方がないでしょう、
気になる皆様は、今のうちに流通在庫をおさえた方が良いかもしれません。
●最後に、ご愛敬な部分を
このブレーキのマニュアルには日本語表記もありますが、少し以前のアジア製家電製品のマニュアルにあったような、「日本語になっていない日本語」なのが、何と言うべきか……。
片仮名の「シ」と「ツ」や、「ソ」と「ン」を間違っているというお約束から、似た形の平仮名の混同も多くて、無駄に読解力が必要とされます。
最初に見た時、正規品じゃなくて、コピー品を掴まされたのかと思いましたが、色々調べたら、ずいぶん昔から同じような指摘を受けていたようで、この製品の特徴の一つだと思う事にしました(苦笑)。
それでも翻訳レベルは結構高くて、文字の間違いを正しく直せば、文章は正しい日本語になっています。
あと一歩の頑張り、できれば日本人の監修があれば、最高だった!
価格評価→★★★☆☆(←在庫が少なくなったのか、以前より高くなった)
評 価→★★★★★(←制動性能は文句なし。人間の方が振り回されないように注意)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→148g(カタログ値。片側のみの重量)