購入価格 ¥2940
快適サイクリングのためのファッションとデザイン、その生い立ちと変遷が見える唯一の大図鑑、と帯にあります。頑丈な装丁はなるほど図鑑。224ページの、なかなか立派な見栄えと中身と重さの本です。
しかし、こんな本がたくさん売れるとは思えません。そう考えると税込2940円というのは、ずいぶん廉価な値付けのような気がしてきます。重量あたりの値段を考えると本当に安い(笑)。何といっても自転車出版業界、一丁上がり的なムックでも1500円也、ですから。
1963年生まれでデザイナーの著者・マイケル・エンバッハー(Embacher,Michael)はウィーンで建築を学び、1994年にデザイン事務所を設立。細部にこだわる建築を探究しているそうで、無類の自転車愛好家なのだとか。で、彼のコレクションでこんな本が出来てしまった。
この本は図鑑というべきか、「オレのコレクションを見てくれ」的な写真集というべきか。
紹介されているのは大正末期のものから最近のものまで100台ほどで実に多彩。見飽きません。日本車では、偉大な失敗作であるシマノ73デュラを搭載した三連勝やBSの折りたたみグランテックが載っているあたりで親しみを感じてしまいます。また、フランクフルトの自転車販売店ブリュゲル向けのコルナゴで、ミキストフレーム+プロムナードハンドル+カンパの自転車などは、金色のカンパに金色のMAVICリムで・・・等々、虫めがねで見るとさらに楽しめたりします。
それにしてもこれは、なかなかすごい本で、一ページずつ、じーと眺めてしまいます。一ページ毎に、何かを感じ、考えながら読み進む・・・
しかし、もう歳だからなのか、あまり調子コイて注視しつづけると、疲れてしまいますねぇ。細部に惹きこまれてしまうからでしょうか。すごい本ですが、疲れる。こういう本は、時々、ほんの少しだけ眺めるのが良いのかなあ?と感じました。
蛇足ですが、翻訳者は自転車に詳しいというわけでもないようで、ところどころ不思議な訳や表記が充てられています。「ブリヂストン」が「ブリジストン」と表記されてたり、とかとか。翻訳を手がけられた方は、これが初の翻訳書だそうで、今後、自転車分野での活躍を期待します。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★