購入価格 £266.66(約32,000円, Wiggle)
過去にミノウラとエリートの固定ローラー、エリートの三本ローラーと乗り継いできたが、このローラー台はこれまでで最高のものだと感じている。
実走感・乗り心地ではこれに勝るものはないと思う。勿論、バランスを取る楽しみも含めると三本ローラーには敵わないが、イメージとしてはフロントが固定された三本ローラーみたいな気持よさ。
良く知られているように、このローラー台は一般的なものと違い、ホイールを外した車体を、フライホイールに装着したカセットに嵌める。タイヤを押し付けるわけではないのでひっかかりがない。タイヤが減らない、ローラー専用のホイールを用意する必要がないというメリットはあるが、やはり最大の長所は実走感が高いので、モチベーションを高く維持できるところにあると思う。
フライホイールが生み出す抵抗は非常にリニア。使う前は、「実走感が高いといっても、所詮は固定ローラー。回していて退屈になるんじゃないか」と懸念していたが、実際に使ってみると全くの杞憂だった。従来型固定ローラーの場合、私は30分回すだけでも苦行だったが、この製品なら一時間回していても退屈さや苦行感はない。
こう書くと良いことづくめのようだが、短所は勿論ある。それは音だ。基本的に低周波のブウンブウンとした音ではなく、ゴォォォォォォォォォォというホワイトノイズ的な音が発生する。マンション住まいの場合、階下の住人よりも階上の住人に聞こえるタイプの音かもしれない。
あまり負荷をかけずに、サイクリングロードでLSD走行をしているような感覚で回していれば、音はあまり大きくならない。大型の扇風機を「強」モードで回しているような音で、これならマンションでも何とか使えると思うのだが、おもいっきり負荷をかけると業務用超ハイパワー掃除機的な爆音が発生する。低周波振動も出ているように感じる。
まとめると、集合住宅に住んでいる人で、全力負荷→休憩、を繰り返すインターバルトレーニング的なことをしたい人は、多分苦情が来ると思うので買わないほうが良いと思う。逆に、低負荷でのんびり回せば思ったほどうるさくない。騒音に関してはある程度乗り手がコントロールできる。なお、「低負荷」と言っても、三本ローラーよりはずっと高い負荷で漕いでいても騒音は低く抑えた乗り方ができる。ただし、騒音に配慮した乗り方をする場合でも、夜9時以降は使わないほうが良いと思う。低周波振動がゼロなわけではないのでベースユニットの下にマットを敷くなどの配慮も必要。
組み立てはベースユニットと本体を三本のヘックスボルトで接続するだけなので簡単だった。オプションのカンパニョーロ用フリーも同時購入したが、現在はデフォルトのシマノ対応フリーで使用中。同梱されているクイックリリースはスペーサーを入れ替えることで130mm / 135mm両方に対応できる。
このローラーで本格的なトレーニングを考えている人は、Power Pilotという専用のコンピューター(二つのセンサー付き)を使うことができる。スピード、距離、ケイデンス、出力等を計測することができるらしい。ただ、本体とセンサー間の通信にはANT + を使用するものの、やや独自仕様のところがあり使いづらいという話もある。それに高い。
フライホイール部には小型のマグネットが埋め込まれているので、その付近に自分のサイクルコンピューター付属のセンサーを両面テープで止めるなどすれば、スピードは計測できると思われる。ただ、表示される速度がどれほど現実世界でのそれに近いかどうかはわからない。データを管理したい人は心拍計でトレーニングするのが現実的ではないかと思う。
長くなってしまったが、あらためてまとめると実走感は非常に高く、負荷の増減は入力に対して非常にリニアであり、回していて気持ちが良い。弱点は騒音で、集合住宅などでは音をコントロールして使う必要があること。音のタイプは全力仕事中の扇風機(低負荷時)または業務用超強力バキュームクリーナー(もがいている時)という感じ。
固定ローラーを検討中の人で、一軒家に住んでいて同居人の了解が得られるのなら、選択肢に入れるべき製品だと思う。壁が薄いマンション住まいの方は、やめておいたほうが良い。
なおディスクブレーキ仕様のMTBで使う方はリアキャリパーにパッドスペーサーを挿入するのを忘れないように(ホイールがないのについリアブレーキを握ってしまう(汗))。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★ 自然な負荷と実走感に不満なし。音の問題は差し引いても満点。
<オプション>
カタログ重量→ 14.5kg