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鯉沼氏(以下、鯉) : ZITENSYAEXPLORERを使ってみたよ。
油井氏(以下、油) : CBNサイトのここからダウンロードできるアレだね。おいらも使ったぞ。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/static1/index.php?content_id=32鯉 : 本体はただのEXCELファイルじゃん。
油 : とりあえず気楽ってことだろ。
鯉 : 起動してみると。。。
油 : 右側にあるシンプルな線画の自転車絵とは裏腹に、左側の表がてんこ盛りでわかりにくいな。
鯉 : 英語表記も、なんちゃってぇ~な気配が漂っていて、こんなんでいいのかっていう気もするし。
油 : いったい、自分が入力するのがどの範囲なのか?とか、これがいったいどこの寸法をさすのか?とか、枠が多すぎてちょっとわかりにくいね。
鯉 : 一度、取説を読んで確認しておいた方がよさそうだ。読むのがちょっと面倒だけど。
油 : まーしかし、自分でサイズを決めてオーダーしたことのあるオレの昔からの知人などは、使ってすぐに、
「あー、なるほどね、わかるわかる。へぇ~。」
だったな。
鯉 : ほー。こっちは身近な若者にちょっと使ってもらったんだが、
「あの~、意味わかんないス。そんな細かいこと知ってどうなるんすかァ?」
ときたよ。そりゃ無理もない。自転車のサイズはMとLの2サイズでOKって人に使わせてしまった自分が悪かった。自転車がもっと好きになって、ハンドルやサドルの位置が気になりだしたら、こういうのが必要になるかもね。
油 : 機能を具体的に見てみよう。
①saddle position
鯉 : 自分なんか、歳とともにジワジワと座る位置が後ろに下がってきていて、今じゃ思いっきりサドルを後ろに引っ張ってるけど、もういい加減、限界だって感じだよ。サドルを引いて使うのが好きだけどやりすぎ。すこしシート角度を寝かせておこうかなって、思うようになるよね。
油 : なるほど。サドル引くのは相変わらずだけど、その基準位置をそもそも今のヤツから変えたいってことだね。関係ないけど上坂卓郎氏の超前乗りはスゴイ!!
鯉 : でさ、シート角度だけでなく、サドルからBBまでの距離も関係してくるけど、自分の場合、73.5度から73度に変更したら、6.4㎜の後退となった。
油 : ほー、1度寝かせたら13㎜程度さがるのね。へー。
鯉 : というわけで、今度のヤツは72.7度狙いで10mmちょっと引こうかな。
油 : 刻むねぇぇ。あそうだ、サドルの角度も変えて描画してみたいなあ。オイラのサドルは離陸直前のコンコルドみたいに前上がりなんだ。
鯉 : アンタのサドルそのものはオレも気に入ってるけど、あの角度は遠慮したいよ。
② top(sloping)
鯉 : スローピング角度を設定できるんだね。
油 : そうね。1度スローピングだと見た目ではホリゾンタルと区別するのが難しいくらいだってのがわかったりして。ところがさ、1度スローピングさせると、例えばトップチューブ550㎜が、547.52㎜になるんだってさ。
鯉 : 2.48㎜だけ短くなっている。意外と短くなっちゃうもんだな。
油 : しかしそれはシート角度が74度の時。73度だと、547.37㎜だ。変わるんだ。当たり前だけど。
鯉 : 0.15㎜の違いなんてそれこそ微差だよなー。設計公差範囲内じゃないの?
油 : そう思う?全部積み上がったら、フロントセンターが2㎜位動くかも知れないゼ。このツールを使って最悪公差で積み上げてみるのも面白いかも。どこがどれだけずれちゃうのか。
鯉 : ふーん、なるほど。
③ front center
鯉 : あ、そうそう、何が悲しいって、指定したフロントセンターが、出来上がったら5㎜もずれちゃった時だよ。信頼裏切られた感、が絶大だ。
油 : フォークオフセットっていう難関が絡むしね。勢い、ストレートで行きたくなる。まあ、いずれにしても正確な寸法出しと、正確なチューブカット。これが出来なきゃ、そもそも精度の高いスチールフレームなんて出来ないよ。CADでも原寸大製図でもどちらでもいいんだけど、素材の正確な寸法がわかっていて、正確なカットが出来ていれば、腕の確かなビルダーとしては仕事はほとんど終わったようなもんだ。
鯉 : で、フロントセンターだけど、つま先でタイヤに触りたくないような場合には、どこをどうしたら何㎜拡がるってのがわかるのは助かる。ヘッド角度とトップチューブ長さが関係するから、概算するのも多少面倒だし。。
油 : まあ、いずれにしてもこのツール、知りたい数字は大抵わかるようになってはいる。ただし、ヘッドセットの関係とか、ラグの特徴、ラグレスにした時のチューブ交差点の設定とか、自分でプラスアルファを考えなくちゃいけないところがちょっとね。
鯉 : オレだったらまず、ヘッドセットを買っちゃうかな。ノギスで測ってEXCELの45行目以下に入れるよ。あとチューブの交差点の設定も同じ。数字を勝手に変えちゃうから平気だもんね。簡単なことさ。
④ mechanical trail
油 : メカニカルトレイルって何?
鯉 : さー?知らん。トレイルのヘッド角度正弦になってるが。きっと、この数値がステアリング特性に重要な影響を与えるんだろ?
油 : あれっ、取説では正弦じゃなくて余弦になってるぞ。発見したぜ!誤植。で、最適な数値っていくつなんだろうねぇ?
鯉 : そりゃ、どんなステアリング特性にしたいかで決めるんじゃない?結果的なことしか言えないけど、オレのロードは55.1㎜だよ。何でそうなるか知らんけど、気に入ってるよ。50㎜のヤツも乗ってるけど、前者が好みだな。まあ、大した違いじゃないんだけど。それから誤植はそのうち直されるのかねえ?
油 : 細かいねえ。
⑤ saddle-handle
油 : 結局こういう数値が重要なんだが、このツールはステムやハンドルスペックを変えても、そこそこの数値を出してくるね。さすがに丸ハン以外に対応するのは難しいだろうな。
鯉 : それにしてもリーチとドロップを変えると、ちゃんと数値が変わってハンドル形状まで変わるのはいいが、形状変化がいかにもマンガチックだなこりゃ。
⑥down tube length
鯉 : あたりまえだけど、ダウンチューブって長いんだな、他よりも。
油 : 今頃何言ってんの?ましかし、オーダーする側にとってどうでもいい数字でも、どんだけ長いのか一発でわかるのは悪くない。一方、ビルダーさんはそれぞれ固有の加工代(しろ)を考慮して長さを決めるけどね。そこはビルダーさんの正直な作業がラグの裏側に隠されているところだ。
⑦chain-seat angle
鯉 : なんだろうねこの悪ふざけみたいな角度は。チェンとシートチューブの角度がわかってどうするっていうのかねぇ?
油 : 取説にあるけど、小径車ではこの角度がロードに対して大きく変わるので、前変速機を後傾させなければいけない。その後傾量を決めるんだ、と。
鯉 : あそか。
油:オイラの小径車なんか、このEXCELで算出されるロードとの角度差分以上に後傾してるんだけど、変速フィーリングはスバラシイ。恐らく、ノーマル状態とは比べるべくもないヨ。いまだに74デュラのFDだけど、サイコーだ。小径車を作るなら、これは絶対にやった方が良い。
鯉 : え~そんなに違うかい?
油 : 違うんだろうな。FDを後傾しない小径車なんて、・・・
鯉 : 古いコピーだ。
油 : この辺は、CHERUBIMの創業者である今野仁さんは力説してたね。その迫力にオイラは後退りした。
鯉 : ほんまかいな。
⑧Wheel Tips
油 : スポーク長を計算するこれ。計算自体は簡単だから特にこれといったアレはないんだけど、スポークを2本描いてるのは悪くない。あと、リム穴数を30とかにしたりクロス数を負数にすると赤字で怒られちゃうのね。
鯉 : 怒られちゃうのは許す。しかしおれは納得できない。なんで2本だけなんだ?バーッと全数描いてくれよ。
油 : やるのは簡単だろうけど、見た目が鬱陶しいからやめたんじゃない?
鯉 : んにゃー、おれは納得できない。改造してやる。
* * * * *
鯉 : しかしこのEXCELシート。結果がいろいろありすぎるね。こんなの使う人って、ものすごく少数派だと思うんだけどな~。
油 : そうだな。こういうのを使う人は割合で言ったらものすごく小さいだろうね。たとえばロードに乗る人の0.5%とか。むしろこれって、ビルダーさんが使って重宝するんじゃない?
鯉 : 今は便利な自転車フレーム専用CADがあるからそっち使うでしょ。でも、これ使う人ももしかしたらいるかもね。ところでこのEXCEL、隠しシートを見るとモー全部が表計算で済んでるじゃん。丸見え。潔いというか、何というか。
油 : 無防備だな。オープンソースってわけか。しかし、単純な幾何学計算だよ。マクロ使う必要なんてないでしょ。ってわけで表計算で十分だ。何を与えて何を結果として出すかという構想力が重要。
それにしても裏シートをよく眺めると、泥縄式っぽい。基本形が90年代に出来上がっていたらしいが、そこから泥縄増築してると見た。
鯉 : さりげなくベクトル演算の式が使われていたりして、少しは楽しようとした節があったりする。そうか。こういうのは子供の夏休みの自由研究にちょうどいいかもしれない。
油 : 自由研究か。なつかしいなー。
鯉 : 子供のうちからそんなマニアだったらサイスポの岩田編集長みたいだ。
油 : おまえ見たんか!?
鯉 : あのひとの高校時代の写真が以前、サイスポでで出たじゃん。一筋縄じゃない自転車だったぜ。推して知るべしだよ。
油 : ほんまかいな!?
* * * * *
茶飲み話は延々とづつく 。 。 。
評 価→★★★☆☆