購入価格 ¥800位(古本)
自転車ブームである。しかし、ノーブレーキピストの流行をみれば分かるように、
見かけ重視の底の浅い流行では無いか?1970年代にも自転車ブームがあったけれども
気が付けば、自動車がより大きく豪華になっていき、自転車はスーパーで
9800円で叩き売られるような安物自転車が主流になってしまった。何とか
ブームの火が消えないうちに、もっと地に足が着いた自転車文化を根付かせたい!
という著者の思いが感じられる本である。
たとえばROADに乗るというと、日本の自転車屋さんの言うことを鵜呑みにすると、
105の完成車にヘルメットだ、ジャージだ、ビンディングペダルとシューズその他用品一式
コミコミ最低30万からなんてことになってしまう。
この本で紹介しているのは、ライトブルーのクロモリのピストに、ブレーキはもちろん、
Mudflap(下写真参照)が付いた白い泥除けやフレームポンプ、電池式のライトと
トークリップを付けて普通の服を着て乗っている女の子である。こちらは安いモデルなら
4-5万あれば全て揃う。どちらが多くの人が楽しめるのかは自明のことである
CRCで売っている Brooks の Mudflap(前輪の泥除けの下に取り付ける)
※Mudflapをつけると、フレームも服もほとんど汚れなくなるはずなので、
普段着でぬかるんだ道を走ったりする時は乗るには非常に具合が良いかも知れない
さらに筆者は、『キャリアは自転車のあばら骨』とか『バスケット・マジック』
などという章を設けて、見栄えが良くないという理由で、最近、不当に毛嫌いされている、
キャリアやバスケットを、格好良く使い、通勤、通学、買い物など日常生活から乖離して
しまった、スポーツ自転車と一般車の間の大きな隙間を埋めようと努力している。
上の写真は、wiggleで扱いがある普通のリアキャリアに引っ掛けて使うバックだが、
小池氏が紹介しているのは、スウェーデン陸軍の自転車部隊用のリアキャリア用バックとか
籐の籠で出来た子供が横を向いて座るチャイルドシートとか、もう少しレトロっぽいものである
世代が違い(小池氏は多分還暦は過ぎておられる)や感性の違いもあり、
正直なところ、小池氏の提案でそのままいただき!という部分があるわけではない。
しかし、この本を読むと、ムクムクと『こんな自転車に乗りたい』とか、
『あそこをこう変えたい』とか、自らの心の奥底に眠っていた欲望に火が付くのである。
本サイトでレビュワーをやっておられるような方の配偶者の方は、この本が
相方の目に触れないよう隠しておくことをお勧めする。本自体の定価は1500円だが
しばらくすると大枚の諭吉が蒸発すること必定である。
価格評価→★★★★☆(126pしかないのでちょっと高いかな)
評 価→★★★★★(読み終わった直後は★★★くらいだったんだけど、遅効性あり。劇薬です)