shimano XTR M950/951 Vブレーキ
購入価格 ¥16000くらい
意外に大事なパーツのレビューが落ちている様なので記憶をたどりレビュー。
MTBコンポと言えば7SのXT(M730系)が開祖と思われます。
HGチェーンとSISによる確実な変速、デオーレがツーリングコンポだった時代からブレーキの形状や専用ワイヤー(太い)により制動力も大幅に強化されました。以降、ようやくレースシーンも育って来て7s→8sへ、さらなる軽量化を目指してリリースされたのが初代XTR(M900系)です。
とはいえ(個人的には)M900系のXTRはXTの正常進化と言えるもので、レースに特化したコンポとしては新機軸に欠けていたとも思います。MTBがオリンピックの正式種目になるかならないかのタイミングで発表されたニューXTR(M950系)には、当時のライダーを唸らせるいくつかの新機軸が搭載されていました。特に印象的だったのは、剛性の強化です、あらゆる部分を見直し、軽量化しつつ剛性を高めています。この中でもBBをオクタリンクにし、スプラインに勘合する中空クランク、これに組み合わせるチェーンリングもアウターはスパイダーを兼ねインナー/センターは1つのアッセンブリーになっている点が鮮烈でした。Fメカの変速性能も大幅に向上し(当時XTは既にコンパクトドライブに以降済みでした)、ギア比以外の点では文句の無い性能になったと思います。
この他忘れてはいけないXTRの新機軸はここで紹介するVブレーキです。それまではレバー側のカムの働きで倍力をかけ、ロープロファイルのカンチブレーキの制動力を増すアプローチがとられていましたが、読んで字のごとくVブレーキではカンチレバーブレーキのアームそのものを延長し、サイドプルとすることで、引きの軽さと制動力を両立させています。Vブレーキ自体の発表で先行したのはXTグレード(M-748だった気が、、)でしたが、設計がまずかった様で使っているとリンクのガタでてくる代物でした。XTRでは、おそらく材質の向上と各部の形状の見直し、そして軸部にベアリングを圧入することで耐久性が高められていました。
M900系までは、アメリカ等の小規模メーカーがアルミの削り出し+アルマイトで個性的な軽量パーツ(Vブレーキに似たサイドプルのロングアーチのカンチブレーキは、ポールやIRD、WTB等からもリリースされていました)や、シマノパーツそのものをチューンする軽合金製のボルト等を販売されており、これらを組み合わせてマシンをカスタマイズすることが一部で流行していましたが、M950系のXTRでは、目立つ部分のボルトは軽合金ないし中空になっており、事実上、こうしたスモールメーカーのパーツを排除しようという思惑の様なものも感じます。ある種無個性ではありますが、重量、剛性、機能性、耐久性において、メーカー純正の組み合わせに安心感もあり、私も長い間愛用していました。ディスク誕生前夜の定番コンポだったと思います。
特にこのVブレーキ、今にいたるまでほとんど形状/仕様の変更がありません。私も一番古いものは一万キロは使っていると思いますが、リンクにガタがほとんど無いのは驚きです。そうそうヘタるパーツではないので、オークションでみつけたら初代を購入されるのもよいかと、、、初代の方が現行よりどういう訳か若干軽いです。
価格評価→★★★★☆(当時は高価に感じられましたがXTより倍ちかく保つ印象でした) 評 価→★★★★★(MTBの基本性能がここら辺で固まってきた気がします)
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