購入価格 セカンドウィンドⅠ760円、セカンドウィンドⅡ700円(税別)
「セカンドウィンドⅠ」の始まりでは、主人公の溝口洋は中学2年生。
小学校5年生の時に村役場主催の競売で、落札した自転車に乗っている。
その自転車は元郵便配達に使われていた軽量のスポーツタイプの自転車で、ハンドルは
フラット、変速は8段、前籠はないが、後ろに荷台がある。溝口洋は「自転車ほど楽しい
乗り物はない。時間がある限り自転車に乗っていたい」と思っている。
「セカンドウィンドⅠ」は、洋の中学時代の話で、ロード自転車に出会い、クラブチームの
練習に参加し、ロードで競技を続けていくために生じる祖父との軋轢、親友となる岳と
の出会い、ヒルクライムで「天狗の蹴落とし」という難所に挑戦する姿が描かれている。
「セカンドウィンドⅡ」は、洋が高校1年から2年の話で、現実離れした南雲学院高等部の
自転車部に所属し、自転車部の主力選手として活動するが、ラストスパートで思い切り
ペダルを踏み込めなくなるというスランプに陥いり、それを乗り越えていく姿が描かれている。
この小説のいいところは、様々な登場人物がでてきて、それぞれにいい味を出しているところと
作者がじっくりと小説を書き進めていて、違和感なくストーリーを楽しめるところだ。
残念なところは2巻でストーリーが完結しているわけでなく、早く先が読みたいが、まだ、
続く作品が発売されていないことだ。洋が高校3年生になり、先輩から自転車部を引きついで、
どんなチームを作るのか?洋の父親はどんな自転車選手だったのか、洋が極限状態で自転車に
乗っているときに聞こえるフォルツァ!という女の声は何なのか?まだまだ、物語は長く続き
そうだ。
なお、作者のブログによると、Ⅲは今年(2010年)前半に刊行予定らしい。
また、ビュアフル文庫版のセカンドウィンドⅠ・Ⅱは、発行所であるジャイブ社と作者の契約が
2009年12月31日で終結したため、在庫分のみで販売終了となるらしい。
但し、セカンドウィンドⅢの発売も予定されているので、新しい読者のためにも、Ⅰ・Ⅱは別の
出版社から新装版で刊行する意向のようだ。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★