アイウエアOAKLEYの動画です。
1975年にジム・ジャナードという人が創業したOAKLEYは、まるでスティーブ・ジョブスらが創業したAppleを想わせるようなガレージみたいなところからのスタートだったそうです。私がオークリーのスポーツサングラスを最初に知ったのは1986年、ツールで初優勝したグレッグ・レモンを通してです。これは当時のサイクルスポーツの表紙です。その前年までは、ツールでアイウエアなんて、眼鏡以外、誰も着用していなかったような気がします。
また、この年はツールでベルナール・イノーが、そしてワンデーレースのスペシャリスト、モレノ・アルゼンティンが世界選で勝ったときに、Rudy Projectを着用していました。1986年は、NHKで放映された面白すぎる86ツールとともに、自転車界でのアイウエア元年(多分)として記憶される年でした。
さてこの動画では、OAKLEYがアイウエアの開発でどんなことをやっているのかが、紹介されています。
平均的な骨格を用いて、数メートル先のターゲットを見ることを想定して、左右の眼の光軸に合わせた赤いレーザ光を骨格内から発射し、左右の光をターゲットで一致させます。次に、アイウエアを装着させると、ターゲットで交差していた光軸がずれて、光の点が二つになります。また、ひとつになったとしてもレンズの傾斜のお陰で、光軸が下方にずれることもある。ダニエルとかいう人が、”xyz optics”という設計手法を開発し、これを解決したとか。
また、秒速45mでスチール玉をぶつけたり、結構な大きさの鉄の凶器をレンズに落として強度もアピールしてます。
さて”xyz optics”。人間の目は二つあって、目玉を動かすと光軸が融通無碍に動き、そんな風に動いても人はちゃんと外界を認識できるんですよね。一方のプラスチックレンズは静止しています。眼という柔軟な光学系にちゃんと対応するような設計なんて、あり得るのだろうか?などと思ってしまいますが、メーカーは色々工夫しているんだなー、というのが何となくわかった次第です。
それにしても人間の眼って不思議ですよね。昔のアイウエアなんてのは、視界周辺が歪んじゃって、装着した瞬間に、なんじゃこりゃー、となるようなシロモノがたくさんありましたが、それでも、ずーっと装着していると、慣れてしまうんですよね。人間のほうが修正してしまう。そして今度は、外したときに歪んじゃって、なんじゃこりゃー、となる。
左右度違い乱視のメガネは、その典型。乱視は、いわば、楕円は二つの焦点を持つ、というのと同じような事態が目の光学系に発生しているのですが、それを打ち消すための光学系をレンズに与えています。で、片目だけ乱視だと、メガネを装着した瞬間に、平行線が平行には見えなくなるんですね。ところがしばらくすると、平行なものが、ちゃんと平行に見えてくる。「あれは平行なはず。だから平行に見えなくてはいけない」と、脳が勝手にフィードバックしてしまうということでしょう。そして外すと今度は、まっすぐなはずの建物がいびつに見えちゃったりする。再度、フィードバック利得を修正するのには、数分を要します(というのは自分の高校時代の経験です)。
眼とは、人間の感覚とは、何だかとても不思議です。あれれ脱線してしまいました。
評 価→★★★★☆
年 式→2007