あれはいつのことだったのか。
ツールドフランスの映像が、KIRIN EMBLEMのCMに使われたことがあります。ツールの映像がまだ珍しかった頃の話。恐らくはイノーがダブルツールを制した1982年のツール映像を使った作品。その名も、
KIRIN EMBLEM 「誇りを秘めて」 篇
決死の単独巡航を決める選手の渋い表情。
コーナーを曲がってゴールスプリントへと向かうシャンゼリゼの大集団。
まるで、フレームやクランクが撓むのが見えるかのような錯覚を覚えます。
こんなにも素晴らしく、人間臭いドラマ。どんな役割であろうと、誇りを秘めて走る。世界最高の舞台で戦う選手たちの孤独と喜びにEMBLEMの琥珀色をオーバラップさせます。
というのは多分、私の思い込みです。本当はどんな映像だったのか?実は、あまりよく覚えていません。
あの時、時代はこのCMに完全に置き去りにされていた、と言ってもよいでしょう。当時、大学生だった私の狭い部屋に置かれたロードレーサー(当時はロードバイクとは言わなかった)を見た新聞勧誘員は「競輪選手ですか?」と言ってくれたものです。そんな時代にツールの意味などすんなり理解されるはずもありません。
懲りないドーピング問題が厄介ですが、こういうCM、今こそ制作して流すべき時ではないか?と思います。
本当はどんな映像だったんだろう?ネットのどこを探しても、KIRIN EMBLEMのツールCMの情報は、ほぼ皆無のようです。
もう一度見てみたいものです。
評 価→★★★★★