購入価格 ¥571+税(最新の07巻)
「並木橋通りアオバ自転車店」としてのコミックスは20巻まで。
ヤングキングの連載と並行して、ヤングキングアワーズでも不定期連載されるようになるのと時を同じくして、
「アオバ自転車店」としてコミックスのタイトルリニューアルがされ、巻次も01巻から始められている(連載側のタイトルは「並木橋通りアオバ自転車店」のまま)
現在(2009年4月末)07巻まで刊行中。2009年5月11日に08巻が発売される。
ヤングキング側の連載では、レギュラー+セミレギュラーが入り混じった物語構成だが、ヤングキングアワーズ側の連載では、
セミレギュラーは当分出さない形でのストーリー作りをしているとのこと。
1999年7月から連載されている、既に息の長い漫画と言っておかしくない状況では、セミレギュラー(=店の常連)が多数いるのは当然。
それを出さないことで、差別化を図っていると言うことであろう。
先人の言うとおり、自転車への愛に満ち溢れた作品。
と言うより、自転車を介する事で人と人のドラマが描かれる。主役は「人」、自転車は「触媒」。
まぁ、はっきり言ってしまうと、なんでもかんでも麻雀で解決する麻雀劇画、なんでもかんでも料理で解決する「美味○んぼ」「クッキング○パ」と同じとも言えるがw
ただ、自転車漫画と言えば「シャカリキ」や「Odds」のように競技・競輪系が多いわけで、そんな中で自転車を使う日常を題材にすると言うのは、
着想そのものが面白いし、又読んでいても身近で面白い(ま、所詮漫画なので、非日常設定であることも多いのだが)。
題材とされる自転車は、ロードレーサーやMTBはあまり無い。
生活の中で使われるシティサイクル、ちょっと趣味性が高くなるフォールディングバイクや小径車などに陽が当ることが多い。
ちなみに我が愛車、BromptonやSTRIDAも出てくる。
正直、この作者は、ストーリーメーカーとしてはなかなかだと思うが、今ひとつ尻切れトンボ的なラストになることが多く、ストーリーテラーとしてはイマイチと思う。
つまり、ストーリーが悪いのでは無く、コマ割りや最後への持って行き方が今ひとつでは無いかと。
漫画家でも無い自分がこのような偉そうな事を言うのは気が引けるが、なんとなくオチのコマで「アレ、これで終わり?」的な肩透かしを食らうことが多いように思う。
何も全てのストーリーが「じゃじゃーん!」みたいな終わり方をする必要は無いとは言え、やや残念な部分ではある。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ここで閑話、と言うかミニレビュー。
レギュラーキャラクターである峠一家の峠ワカバさん。
主役の峠アオバの母であり、峠工一の妻であり、アオバ自転車店の辣腕おかみ。
しかもナイスバディで美しいw
18巻の「多島」(大島と思われます(^^;)で見せてくれたビキニ姿は、子供を一人産んでいるとは到底思えないゴックンものw
宮尾G先生、サービスし過ぎwww
この方の自転車がプジョーCOM Step-in。2004年モデルだと思う。Vブレーキ+外装変速仕様。
元々、プジョーNS40がワカバの愛車であり、工一との出会いの自転車だったが、アオバに譲ったことで新しい自転車が必要になり、そこで工一が選んだのがこの自転車だった。
日本企画台湾製造のプジョーで、仏車でも何でも無いが、そこに小改造を施しフレンチスピリットを封じ込めるのが峠工一の腕(14巻「フレンチ・スピリット」)。
こう言う設定の下の自転車選びをさせると、本当にこの作者は上手いと思うし、知識の豊富さが際立つと思う。
実は自分の奥方の自転車がこのCOM Step-inの2003年モデル。
2003年モデルはローラーブレーキ+内装変速仕様(シマノインター4)。
この自転車は、自分が買ってあげたものだが、これを買った時にはこの漫画のことなんてまったく知らなかった。
後々、この漫画を読んで、初めてこの偶然の一致に驚いた次第。
この自転車、フレームが頑強この上ない(素材はハイテンの筈)。
一度、事情があって、サドルを自分に合わせて自分が思い切り漕いだ事があるのだが、まったくヨレることも無く、真っ直ぐに、放たれた矢のように走った。
そんじょそこらのママチャリとは一線を画す出来である。
フレームがヨレないので、逆にクランクなどのヤワさが分かってしまったくらい。
この自転車も、随分とあちこちガタがきているのでオーバーホールをやりたいところではある。
走行距離的には5,000kmくらいの筈なのだが、経年劣化が結構出ている。無論、タイヤ・ケーブルの類は替えているが(フレーム自体は問題無し)。
錆の浮いたヘッドパーツ・ハンドルの交換、ハブダイナモで前輪組み、インター8で後輪組み(インター4はギア比が重過ぎる)、
ブレーキをキャリパーに変更(2003年モデルはV台座が無いので可能)、等々妄想してみたりしている。
(妄想は素晴らしい趣味です)
まぁ、そこまでやるくらいなら、新品の自転車を一台買った方が安いし手っ取り早いし良さそうではあるのだが・・・
※ ディスコン製品の新規レビューはしない方針なので、ここでミニレビューさせて頂いた
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
閑話休題。
一つ書いておきたいことがある。
作者は「自分の漫画の中の人達は生きている。だから二人乗りや無灯火をする人達もいる。そうでなくては漫画が生きない」と言う旨の発言をされている。
なるほど、それは漫画家として至極当然のことかもしれない。
現実の世界で二人乗りや無灯火が無くならないように、漫画の中の世界も清濁併せ呑むようで無いとウソになってしまうだろう。
しかるに作者は、今まで無灯火・飲酒運転・ノーブレーキピスト・違法駐輪と言った自転車の問題に対しては、批判・啓蒙的なストーリーを書いてきている。
これも又立派なことである。
が、二人乗りに関してだけは、「甘酸っぱいから」などとのたまって、二人乗りをすることを肯定するかのような作品を書いているのである。
(読者ならご存知、一連のケンタとチヅルの話だ)
無論作者に聞けば、ストーリーに必須、漫画の世界も生きている、二人乗りを肯定しているわけではない、と言うであろう。
しかし、それは屁理屈である。
上記自転車の違法行為を批判している以上、如何なる理由であろうとも、二人乗りがストーリーの中心となること、すなわち「正」であることは許されまい。
そして作者は、自分が知る限りは、二人乗りを「悪」として描いたことは無い。
この点に関しては、この作品はまったく認めることが出来ない。
他がいいだけに、誰にでも薦めたい自転車漫画なだけに、ここだけがとてつもなく残念である。
価格評価→★★★★☆ まぁ、全巻揃えたら高いけどねぇ、一巻一巻は大した額じゃないでしょ。
評 価→★★★★☆ 「二人乗り肯定」で星一つ減。