購入価格 ¥216000くらい
◆購入動機
私にとって、自転車は趣味としてはもちろんの事、日常生活の足でもあるので、コンパクトに畳めて実用的なブロンプトンは、昔から少し気になる存在ではありました。
ブロンプトンの事が気になりつつも、かつての私は「スポーツバイク至上主義!」的な思考に囚われていたので、ロードバイクやマウンテンバイク、小径車ではBD-1等に目が向き、ずっとブロンプトンとは縁遠い生活を過ごしていたのです。
そんな中、だんだん輪行しやすい自転車が欲しいと思うようになり、数年前ついに初めてのブロンプトンとなるM3Rを購入しました。
その後、日々の生活で使う中で【想像以上の走行性能】【フロントバッグとキャリアを活かした積載性】【重い荷物を積んでも不安定になりにくい走行安定性】【輪行しやすい形】【泥除けの性能の高さ】等、様々な部分の設計の妙に感心しました。
購入当初は主に輪行でのお出かけや日常の買い物に使うつもりだったので、とりあえずブロンプトンの基本形であるM3Rを選んだのですが、意外に走行性能が高いため、だんだんと日常生活以外にも長距離を自走したり山へ出かけたりと、使用範囲が広がっていきました。こうなると、さすがに3速モデルでは不満が出てきます。
私のM3Rはチェーンリングを標準の50Tから小さい44Tに交換しており、これは普段使いではちょうど良い塩梅のギア比なのですが、下りや追い風では簡単に回し切ってしまいますし、急坂の登坂ではもっと軽いギアが欲しくなります。
そんな中、ショップでライムグリーンのPハンドルモデル(P6L)が売れ残っているのを見て、これも何かの縁だと思い購入しました。
購入から3年近く経ち、少し前にPハンドルモデルの生産終了がアナウンスされたので、惜別の思いも込めつつレビューしたいと思います。
◆概要・仕様
ブロンプトンの中でもツーリングを主目的として設計されたPハンドル、そして6速ギアのモデルです。私は山超え含むロングライドをする機会も多いので、手持ちのM3Rと同じくチェーンリングを44Tに交換、そして個人的には日常生活でもツーリングでも必須アイテムのキャリアを装着してもらいました。
Pハンドル、6速、キャリア付きという仕様は、ハブダイナモ等の特殊な装備のモデルを除くとブロンプトンで最重量級だと思います。
とは言え、そもそもブロンプトン自体が折り畳み自転車としては重い部類なので、個人的にはあまり気にしていません。
M、Sハンドルモデルと同じく、折り畳み時のサイズは四角形に近くなり目立つ突起は無いので、重い割に持ちやすいです。
◆使用感
元々、ブロンプトンのハンドルはある程度しなる事で快適性を確保しているように感じますが、中でもPハンドルのしなり具合は特筆すべきものがあります。ハンドルの上端を持って前後上下に力をかけると、目視でもしなっているのがはっきりわかるレベルです。
買い物やちょっとしたポタリングでは、このハンドルのしなりによるグニャグニャ感を強く感じ、特にスポーツバイクの剛性の高さに慣れている方には「力が逃げて気持ち悪い」と思われそうな乗り味です。
しかし、走行距離が100kmを超えてくると明らかに疲労が軽減されているのがわかり、このハンドルのしなりにはちゃんと意味があるのだと痛感します。
ステム角度の関係上、Mハンドルモデルよりもハンドル位置が遠いため直進安定性も高く(あくまでも小径の割にはというレベルですが)、ここも長距離走行向けの仕様なのだなと感じます。
私はロードバイクにも乗りますが、P6Rを購入してからは、ロードで出かけていたロングライドもちょくちょくブロンプトンで出かけるようになりました。
もちろん高速走行性能も巡航性能もロードバイクの方が明らかに上なのですが、速く走る事さえ諦めれば(私の場合 平地での平均時速は22〜25km弱くらいでしょうか)、P6Rは意外と楽に遠くまで連れて行ってくれます。
ギア比がワイドな6速と小さなフロント44Tの組み合わせは登りを重視した仕様なので、重いギアが足りなくなる事を懸念される方もいるかもしれません。しかし下りや追い風時でも時速40kmあたりでようやく回し切る感じなので、高速走行性能を求める方や剛脚の方でない限り、上記のギアの組み合わせで不満は出ないと思います。
Pハンドルは、ドロップバーのように複数のポジションをとる事が可能です。
ポジションに正解はありませんが、私は主に【上】【肩】【下】の3種類を使い分けています。
まず【上】ですが、これは1番標準的なポジションです。
ブレーキレバーをしっかり握る事ができ、ステムのクランプ部分から最も遠いためハンドルのしなりが1番大きくなり、とても快適な乗り心地です。
反面、ハンドルの1番高い位置を持つため空気抵抗は大きくなります。
私は主に街中や峠の下りで使用する事が多いです。
次に【肩】ですが、これはハンドルの上の角〜若干下あたりを持つポジションです。
ブレーキレバーにすぐ指がかかる位置でありながら、手首の角度が自然な形になり脇を締めやすくなるので、個人的には【上】と共に使用頻度の高いポジションです。
【上】と比べるとほんのわずかですがハンドルを持つ位置が低くなります。
私は主に巡航時や登坂時に使用しています。
続いて【下】ですが、ハンドル下部のハの字形の部分〜ハの字の頂点部分あたりを持つポジションです。
ステムのクランプ部分に近いので、ここを持つとハンドルはあまりしならず、ややシャキッとした感覚です。
脇を締めやすく、低いポジションになるので空気抵抗も抑えられますし、急な坂道を登る際も力が伝わりやすく楽になります。
反面、ブレーキレバーからかなり遠くなるので、人や車両がいる可能性がある場所、見通しの悪い場所では一切使えないポジションです。
私は、見通しが良く人も車両も全くいない田畑や河川敷等の1本道、そして激坂登坂時に使用しています。
◆まとめ
Pハンドルモデルが生産終了になるという情報を知った時、「やっぱりか…」とどこかすんなり納得してしまった自分がいました。
Mハンドルは汎用性、Sハンドルはスポーティーな乗り味という良さがあります。
それに比べてPハンドルは長距離走行時の疲れにくさという大きな長所はあるものの、乗り味は全体的に掴み所のない のらりくらりとした感じで、見た目もかなり物々しくて好き嫌いがはっきり分かれそうです。
個人の美的感覚にもよりますが、M、S、Pハンドルモデルを並べた中で「Pハンドルの見た目が1番好き!」という人はあまり多くはないでしょう。
短時間の試乗では、前述の長所が理解されにくいのも辛いところです。
一般的には「輪行しやすいブロンプトンだからロードみたいな長距離自走はしない」という方が多いでしょうし、見た目もクセがあって若干重量も増すPハンドルモデルの生産終了は、ある意味自然な流れだったのかもしれません…
しかし、ブロンプトンで長距離を快適に走りたい方や、ロングツーリングも視野に入れている方ならば、Pハンドルモデルは確実におすすめです。
走行距離が伸びれば伸びるほど、Pハンドルのしなりによる快適性の高さと持てるポジションの多さは効いてきます。
元々、見た目以上に走行性能は高いブロンプトン。そこに【ロングライドの快適性】を付加してくれるPハンドル。生産終了は残念ですが、個性あふれる魅力的なモデルであった事をいつまでも忘れないでしょう。
価格評価→★★★☆☆(走行性能だけで見れば高すぎるが、総合的に見れば仕方ないと思える価格)
評 価→★★★★★(長距離走れて小さく畳めて荷物も積めるので大満足)
<オプション>
年 式→2016