購入価格: ¥9,498(税込)
標準価格: ¥18,360(税込)
『ソールの形状がスムーズなペダリングを導き、フィット性の高さがパワーロスを防ぐ』
■ SHIMANO RT5とは
SHIMANO RT5(SH-RT500)は、ロードツーリング用のSPDシューズだ。通勤・通学・ツーリング(オフロードを含む)・フィットネスなどために用意された、EXPLOERERシリーズにラインアップされている。ブラックとブルーの2色が展開されているが、ブルーは日本では発売されていないモデルだ。
ロード用のSPD-SLシューズと同様にDYNALASTを採用し、剛性を高めるためにソールはグラスファイバーで補強されている。ソール剛性は「5」とこのカテゴリのシューズの中では最も高い。快適に歩行できるように、アウターソールにはラバーソールがを採用。固定方法は3本のベルクロストラップを使用し、パンチング加工されたアッパーと相まって、クラシックかつスポーティーな外観を獲得している。また、夜間での高い視認性を確保するためのリフレクターも備えている。
SHIMANO RT5 ブルー
■ 購入の決め手はデザイン
RT5の購入の決め手は、これまでのシマノとは一線を画すデザインだ。SHIMANOのSPDシューズのデザインはやぼったいものが多く、RaphaやGIROのような優れたデザインのロード用シューズはSPD用のクリートが使えない。RT5はデザインが洗練されている上に、SPD用のクリートを使うことができる。私はこういうシューズを待っていた。また、ソール剛性の高さやDYNALASTによる効率のよいペダリングをロードバイクで試してみたいという気持ちもあった。ブルーを選んだのは、春夏向けの明るいカラーのウエアと合わせることを考えたからだ。
■ サイズ感
私がいつも履くシューズのサイズは25cm、SH-MT22は39(24.5cm)を使っていたが、RT5はサイズ41(25.8cm)がぴったりだった。これは足長に対してワンサイズ大きめを選んでいるのではなく、シマノのサイズ表記が他よりも小さめだからだと感じた。
SH-MT22はショップで試着し、店員にチェックしてもらってから購入したものだが、39でも履くことができたのは、MTB用の幅が広いシューズだったからだろう。今思えば、適正サイズは40か41だったと思うが、シューレースで横方向の調整をある程度できるので、なんとか履けたのかもしれない。
一方、RT5は横幅がタイトにできている。39では縦方向(前後方向)にも横方向にもきつく、親指はシューズの先端にぴったりだが、親指以外がシューズの中で曲がってしまう。ストラップもベルクロの途中までしか締めることができないため、見た目にもカッコ悪くなる。40では締め付け感が小さくなるがまだきつい。2回のサイズ交換を経て、41でようやくジャストフィットした。シューズのサイズ感を判断する際に、私は以下の点をチェックした。
①かかとに人差し指の第一関節が半分くらい入る(指が完全に入っても入らなくてもダメ)
②親指とシューズ先端にある程度の空間がある
③親指以外がシューズの中で曲がっておらず、シューズの中である程度自由に指を動かせる
④拇指球と小指球に圧迫感がない
⑤3本のストラップをほぼ完全に締めることができる
①〜③は他のシューズと比べることが非常に重要。私は普段履いているシューズだけでなく、陸上用のスパイクシューズやランニングシューズとも比較した。これらに比べてもRT5の縦方向のサイズ感はぴったりで、普段履いているスニーカーの方が縦方向にはもう少しゆとりがあると感じた。ちなみに、私はスニーカーであっても、足長に対して大きめのシューズは選ばないように心がけている。
④⑤は縦方向のサイズ感である程度決まってくる。私はシューズの縦方向に対して横方向もぴったりで、ペダリングに必要な適度にタイトなフィット性を得ることができた。シューズを縦方向と横方向のどちらで合わせるかという話もあると思うが、RT5がタイトにできているからといって横幅に合わせると、かかとのホールド感を十分に得ることができず、ペダリングや歩行でかかとがシューズから浮く可能性がある。
ストラップを完全に締めることができるかどうかもサイズ選びのポイント(左)
かかとに指を入れてサイズ感をチェックする(右)
■ ペダリング
私がまず驚かさせれたのが、ペダリングにおけるパワーロスの小ささだ。踏み込みでかかとが沈み込みにくく、しっかりとペダルに加重できる。また、かかとの沈み込みを防ぐことにより、ペダリングがギクシャクせず、スムーズに脚を回せるようになった。これまで使ってきたSPDシューズよりも楽に速く走ることができ、ダンシングや登坂でも力を伝えやすくなった。これはソール剛性の高さよりも、むしろソールの形状とフィット性が大きく貢献している。
トゥスプリングが低く、なおかつ、ソール剛性が低いシューズでは、かかとを高くしてペダルに加重するためにソールを自分で屈曲させる必要があり、ペダリングではどうしてもかかとが沈んでロスが生じやすい。一方、“DYNALAST”はトゥスプリングが高めに設定されており、特に意識しなくてもかかとを高く保ちやすく、パワーロスを防ぐと同時にペダリングもスムーズになる。
ややタイトな横幅の形状と3本のストラップの締め付け力によって、ペダリング中に足がシューズの中でズレにくく、パワーロスを抑えることができる。アッパーの素材の剛性やヒールカップのかかとの保持力も高く、シューズから足が浮くこともない。
ソール剛性が低いシューズばかり使ってきたので、最初はソールの剛性の高さに驚いたが、慣れた今ではほどほどの剛性だと感じている。シッティングで巡航するなら十分なソール剛性であり、DYNALASTがスムーズなペダリングを導いてくれる。だが、ダンシングや強い踏み込みではアウターソールの変形によるパワーロスを感じやすい。なお、インソールは柔らかいものが使用されており、剛性にはほとんど影響しない。
適度なトゥスプリングの高さがスムーズなペダリングを導く
■ 快適性
RT5のソール剛性が高すぎないので、踏み込みの反力で脚の筋肉が疲労しにくい。逆にソール剛性が低い場合は、かかとの沈み込みによって足底(土踏まず)が伸縮を繰り返して疲れることがあるが、RT5のソール剛性なら足底も疲れにくい。つまり、RT5のソール剛性は、ソールの変形によるパワーロスの低減とツーリングでの脚の疲れにくさを両立しているといえる。
また、RT5は横幅がややタイトだが、適正サイズなら走行中の圧迫感が出るほどではなく、血流の阻害によるしびれも出ない。アッパーのパンチング加工によって通気性も高く保たれており、春夏向けのソックスと組み合わせれば、最高気温が30℃近い真夏日でもシューズの中が蒸れにくい。このシューズを使った最長距離は約65kmだが、特にストラップの締め付けを微調整しないでも快適に走れた。
サイズが合って入れば、長時間履き続けても快適
■ ステップインとステップアウト
PD-A600、PD-T780との相性は良好で、ステップインもステップアウトもスムーズに行うことができる。クリート取付部には目盛りがあるので、クリートの位置も微調整しやすい。ただ、アウターソールのクリート取付部の外側に突起があるため、クリートを中央に取り付けないと、クリートと突起が干渉してステップインしにくくなる。だから、クリートを取り付ける際には、ペダリングだけではなくステップインのしやすさも考慮する必要がある。
クリートの取り付け位置によっては、左右の突起に干渉する(左)
推奨のペダルはPD-A600(右)
■ 歩きやすさ・履きやすさ
スニーカーのようにアウターソールが屈曲しないわりには歩きやすい。トゥスプリングの大きさと高めのヒールのおかげで、歩行時の重心移動がたやすく、蹴り出しもスムーズだ。アウターソールよりもクリートが奥にあるため、床でクリートが滑ったり音を立てたりしにくい。また、RT5はストラップを採用しているため、シューレースのSPDシューズよりも圧倒的に着脱が早く、靴を履くのも脱ぐのも楽だ。
■ クリーニング性・耐久性
RT5はつくりがしっかりしており、少なくとも使ってすぐにボロボロになるような部分はない。合成のレザーアッパーはクリーニングがたやすく、汚れがついても水拭きすればすぐに落とせる。
■ 総評
個人的にはRT5は大当たりだった。DYNALASTの高めのトゥスプリングがスムーズなペダリングを導き、高いフィット性がシューズ内の足のズレによるパワーロスを防いでくれる。ソール剛性はツーリング用としては十分に高く、シッティングでのペダリングのパワーロスの低減と脚への負担の少なさをうまく両立している。強い踏み込みやダンシングではもう少し剛性の高さが欲しいが、性能のバランスを考えれば不満ではない。デザインは従来のモデルよりも洗練されており、普段着や街乗り系のウエアとの相性も良好。RT5はデザインとペダリングの両方に満足できるシューズだと感じた。
価格評価→★★★★★ (海外通販なら半額くらいで買える)
評 価→★★★★★ (洗練されたデザインと効率のよいペダリングが素晴らしい)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→317g(42)