購入価格: ¥1,629 (税込)
標準価格: ¥1,934 (税込)
『ケーブルのフリクションを低減するために、自転車用のグリスの中では粘度が特に低めに設定されている』
■ SHIMANO ケーブルグリスとは
SHIMANO ケーブルグリス(旧名: SIS-41グリス)は、同社のシフトケーブルとBC-9000 ポリマーコーティングブレーキケーブル専用のグリスだ。OT-SP41 シフトアウターケーシングにもこのグリスが封入されている。50gで¥1,934と自転車用のケミカルとしては高価だ。なお、ブレーキインナーケーブルにはプレミアムグリスを塗布するようだ。
以前のシマノのカタログではこのグリスの素性がはっきりしなかったが、2015年モデルのカタログからOT-SP41にはシリコングリスが封入されていることが判明。さらに、2016年モデルのカタログでは、インナーケーブルのフリクションの低減、操作に対するレスポンスの向上、変速操作のパワーロスや疲れの軽減などを目的にしていることが記載されている。
SHIMANO ケーブルグリス
■ シフトインナーケーブル交換のために入手
私はロードバイクのシフトアウターケーブルにはOT-SP41を使っており、オプティスリックシフトインナーケーブルとの組み合わせでは、軽く素早い変速操作を実感。シフトインナーケーブルを交換する際には、OT-SP41に封入されいるグリスが古いシフトインナーケーブルに付着して少なくなっていると判断し、ケーブルグリスをシフトインナーケーブルに塗布することに決めた。なお、新品のOT-SP41にはグリスが封入されているので、基本的にはシフトインナーケーブルにケーブルグリスを塗布する必要はない。
オプティスリックシフトインナーケーブルに塗布して使用(左)
シリコングリス入りのOT-SP41 シフトアウターケーシング(右)
■ ケーブルグリスの粘度
私が最初に驚いたことは、ケーブルグリスの粘度の低さだ。私が使ったことのあるグリスの中でも抜群に粘度が低い。まるでハンドクリームのような感触だが、やわらかさと伸びの良さはそれ以上。ベタつきが少なくてヌルヌルとした指ざわりだ。これならケーブルのフリクションを低減できるのもうなづける。
ケーブルグリスはやわらかいシリコングリス
■ 塗布量の変速操作への影響
シフトインナーケーブルには、グリスの白さが消えるくらいに薄く伸ばして塗布した。これでもOT-SP41に封入されているグリスの量よりは多い。インナーケーブルが大きく曲がった部分やOT-SP41の出入り口など、フリクションが大きくなりそうな部分にはやや多めに塗布した。
低摩擦なオプティスリックシフトインナーケーブルと低粘度のケーブルグリスのおかげで、メインレバーの操作は非常に軽く滑らか。リリースレバーのレスポンスも良い。リアのシフトインナーケーブルは、数日後にほつれてしまったのですぐに交換。今度はグリスの白さが少し残るくらいに塗布してみたが、変速操作のスムーズさは変わらなかった。
ケーブルグリスは粘度が非常に低いため、やや多めに塗布してもフリクションが増えにくい。低粘度でも付着性は確保されているため、OT-SP41に封入されているシリコングリスと同様に、基本的には薄く塗布すれば変速性能が長く続くはずだ。個人的には、新品のOT-SP41とオプティスリックシフトインナーケーブルの組み合わせよりも、やや多めに塗布した今回の方が変速操作が軽く感じるような気がする。これなら、新品のOT-SP41を使う際にも、好みでシフトインナーケーブルに塗布してもいいかもしれない。
■ 他のグリスとの比較 (代用品の検討)
ケーブルグリスはKURE シリコングリースメイトやAZ シリコーングリースよりもずっとやわらかく、シリコングリスといっても全くの別物だ。薄く塗布すればサラサラとした感触になる点は同じだが、シリコングリースメイトは塗布する様が多いとレバーの操作が重くなる。このことは私のシングルスピードのブレーキで確認済みだ。もちろん、プレミアムグリスのような粘度の高いグリスも同様だ。
私のクロスバイクには変速の軽さを期待してWAKO’S メンテルーブで潤滑していたが、溶剤が揮発する前は粘度が低いので、オイルがアウターケーブルの下方に流れてしまう。オイルがアウターケーブルの下方に流れてしまう。また、使ってるうちにレバーの操作が徐々に重くなったり、ケーブルの繊維のざらついたタッチを感じやすくなったりした。
本日、モーガンブルー コンペティションカンパグリースを手に入れたのだが、このグリスなら粘度が低いのでケーブルの潤滑に使えるかもしれない。だが、ケーブルグリスの方が粘度が低く、薄く伸ばしてもシリコングリスほどサラサラにはならない。シフトインナーケーブルに使っても問題なさそうだが、ケーブルグリスを経験した後ではあえてこれを選ぶことはないと感じた。
他のグリスを代用品として使う場合は、フリクションの低減と付着性(耐久性)を両立するために低粘度であることが重要だ。また、アウターケーブルのライナーは樹脂製なので、樹脂と金属の潤滑に最適なものを選ぶ必要がある。実際にケーブルグリスを使ってみると、これらの条件を満たし、低価格かつ入手性の高いグリスを見つけるのはなかなか難しそうだ。
これらのグリスよりもケーブルグリスの方がシフトインナーケーブルの潤滑に向いている
■ 総評
SHIMANO ケーブルグリスはただのシリコングリスではない。ケーブルのフリクションを低減するために、自転車用のグリスの中では粘度が特に低めに設定されており、変速の軽さ・滑らかさ・レスポンスの良さが実現が可能。付着性も高いので、変速性能を長期にわたって維持できる。他のグリスよりも量が少なくて高価だが、一度の作業で使う量は少ないので今後も長く使えるはずだ。個人的には、クロスバイクにも最初からこれを使うべきだった。遠回りしたが、ようやく理想のケーブルの潤滑剤に出会うことができた。
価格評価→★★★☆☆ (高価だが一度の作業で使う量は少ない)
評 価→★★★★★ (高性能・高耐久)
<オプション>
年 式→ ー
容 量→50ml