¥760 @ブックオフ
古書店にあったので手に取ってみた。
非・競技系サイクリストのためのロングライド指南書、という位置づけである。
まず100km走れてからだ、とりあえず日常のローラー台なり何なりでトレーニングするのはジョーシキな、という本でなくて安心した。
曰く「スキルよりもノウハウ」で解決できる。トレーニングで早くするのには限界がある。そういう方向性である。
以下、共感したりなるほどと思ったところをちょこちょこ抜き出してみる。
・(サイクリングは)基本的に体への負担が少ないし、状況によっては走りつづける方が体力が回復するほどだ(p.64)
我慢や頑張りではないサイクリング技術について語ることを端的に表現しているくだりだと思う。
そのようなことはイメージがつくものの、自分は何だかんだ疲労がたまっていく走りになっていることが常なので、まだまだ「マッチを燃やして」しまっているのかと実感。
一方、これからスポーツサイクルを始めようという人には、走りながら回復というのは超人的な何かのように思えてしまうのではあるまいか。もう少しイメージしやすく具体的に言及してみた方が良いのではないかと思った。
・「練習」は不要である(p.82セクションタイトル)
挫折して、練習へモチベーションを燃やせるか?(否、だろう?)・・・ギクッ
遊びながら技術的なノウハウを蓄積していって走れるようにするよ、と章の方向性を決めるセクション。
毎週末が決戦であるサンデーサイクリストの福音の書であるようだ。
かく言う私も、3本ローラーを所有はしているが日常的な使用はしてない、できてない。
・冬場はウェア選びが難しいと思われるが、実は選択の余地が少ないだけ、さほど難しくない(p.126)
いやぁ、実にその通りですね。ノウハウを集結した本と標榜するだけに、この辺は経験談を交えて詳しく述べられていて参考になる。
で、
・こうしたウェア選びの難しさを解決する根本的な方法は、プランニング自体を見直すことだ(p.132)
・プランニングとは、単にコースを考えるだけではない(p.133)
なるほど。
・どのブルベに参加するか?(p.148)
ブルベ開催の年間スケジュールにはある法則性がある!主催団体の考え方がざっくりながら披瀝されていて、目から鱗。
こうしたノウハウ、具体例が詰まっていて、文体も文章量もコンパクトでとても読みやすい。
えーと、一日500kmという看板については一向に出てこないのだが・・・
(600kmブルベの話は何度か出てくるが、24時間で走りきらないようですし)
これは最後に、惜しくもキャノンボール達成ならず、というところで達成された模様。
持てるノウハウを惜しみなくつぎ込んで、それでもキャノンボールは難しいチャレンジなのですね。
実は、このCBN界隈ではbaru氏が本書と同様のエッセンスを(しかもより詳細に、無料で!)提供して下さっています。
たとえば、「ロングライド時短法」
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13147&forum=105まるでbaru氏が著者であるかのよう、どのロングライダーも考えることは同じなのですね。
かといって、金払ってまで買うんじゃなかった、という後悔感はあまりありません。
一つの実体ある本という形に、システマチックに情報がまとまっているのもいいものです。
価格評価→★★★☆☆(定価は1600円)
評 価→★★★★☆