購入価格 ¥8,000前後(初売りセット価格から、個別にばらして換算すると、多分これくらい)
2016年の正月に、ショップの初売りで、タイヤ2本+チューブ2本のセットで破格値で出ていたので、ロングライド用に購入。
Endurance:耐久、という製品名が冠されるくらいなので、ハードな使用条件に耐えてくれるだろう、との期待もありました。
現在は2セット目で、23Cを使用しており、普段は7〜8気圧で運用しています。
●使用感
私がこれ以前に使用していたタイヤは、VredesteinのFortezza Tricompと、Fortezza Senso X-Weatherです。
国内ではマイナーな製品なので、比較対象としてイメージしにくいかもしれませんが、とにかく、それらとの比較がメインになります。
乗りはじめの頃は、コンパウンドがアスファルトに貼り付いているような、妙な違和感がありました。
走行時に抵抗を感じるとか、速度が落ちるようなことはないのですが、転がりはあまり軽快でない感じでした。
(現在はそれに慣れてしまい、違和感なく、普通に乗れていますが)
表面には、薄いトレッドパターンと、摩耗限界を示す丸い穴がありますが、このパターンの消え方を見る限り、耐摩耗性は並、という感じでしょうか。
メーカーいわく、耐パンク性は従来製品比で20%、高められているようですが、摩耗に対してはそれほど強いわけではなく、ゴムは普通に削れていくようです。
なお、購入時、ショップのスタッフから、ミシュランのPowerシリーズはタイヤワックスがかなり強く乗っているので、一皮剥くまで、雨天走行やコーナーを攻めた走りは控えた方が良い、という話がありました。
2セット目の使い始めが雨天のブルベでしたが、実際、横方向に滑る感じが強く、ペースを上げられませんでしたので、これから使おうと考えている皆様は、本番前に皮むきを行っておくことをお勧めします。
(特に、雨のレースに新品のまま使うのは、落車の原因になるかもしれません)
●耐パンク性
従来製品より20%、高められたというメーカーのセールストークと、周囲のブルベ仲間から絶賛の声が多数、上がっている状況から、恐らく、十分なレベルの耐パンク性があるのだろうと思われます。
個人的な経験で言うと、走行距離が1,100kmに到達した時点で、ロード歴で初となる、サイドカットによるパンクを経験しました。
路面もクリアな状況で、居合わせた数人のブルベ仲間も、「何でこんな所でサイドカットするの?」と首をかしげていたので、恐らくは、どこかで傷ついたタイヤが、ここで限界に達したのだと思われます。
それにしても、走行距離が約1,000kmを越えてすぐに、タイヤ交換が必要なレベルのパンクとは……。
この時、baruさんのレビューにある、「200人のテスターによる合計20万kmのテストでパンクゼロといっても、一人当たり1000kmに過ぎない」という趣旨の指摘が、頭の中をかすめたのは内緒です。
1,000km越えたら、しっかりオシャカになったやん、と……(いや、単なる不幸な偶然だと思いますけれどね)。
ちなみに、この初のサイドカットが、これまたタイミング悪く、1,200kmのブルベの序盤、約100km程度しか走っていない段階でした。
こんな状況だったので、私の中で、このタイヤに対する評価が一時的にかなり低くなったのは、まあ仕方がないでしょう。
●製品特性をもう一度、調べ直したら……
上記、不幸な事故があったので、このレビュー作成前に、製品特性をもう一度、調べてみました。
Powerシリーズが国内に紹介された時期の報道を見直すと、『このモデル(Endurance)は「高速化している現在のプロレースでは、一つのパンクが致命的な遅れになってしまう」という選手からの意見を踏まえたもの』というコメントがありました。
参考サイト:シクロワイアード 飛躍的進化を遂げた、ミシュランの新たなるレーシングタイヤ「POWER」
http://www.cyclowired.jp/microsite/node/195251 これを読んで何となく理解しましたが、メーカーがこの製品で言う「耐久性」の意味は、「パンクのリスクがあるレースで勝つための性能」ということのようです。
実際、タイヤの断面図を見ても、アラミドテープによる強化範囲は、レース用モデルのCompetitionとほぼ変わらない範囲に収まっています。
その他の部分では、恐らく、コンパウンドを踏み抜きに強いゴムに変更して、Competitionとの差別化を図ってあるのでしょう。
私的な考えですが、本製品のコンセプトである「耐久性」は、ブルベや超ロングライドで要求される「耐久性」とはまた異なる方向性の物であり、正確に評価するためには、レース用の機材として見るべきかと思われます。
ブルベや超ロングライドに必要な「耐久性」を求める場合、この製品よりもグリップ性が強化され、アラミドテープによる防御範囲も広くなった、All Seasonの方が適切なのかもしれません。
という訳で、今、使用しているセットを使いつぶしたら、ALL SEASONを試してみようと考えています。
まあ、財布に余裕があれば、の話ですが……。
●まとめ
色々な場面で使いやすい、優等生タイヤだと思われます。
製品の特徴である耐パンク性については、個人的な経験を抜きに考えれば、十分以上のレベルに到達していると見て良いかと思います。
ブルベやファストランのように、「安定して長距離を走る」場面でも、十分以上に実力を発揮してくれると思われますが、製品コンセプト的に、この製品は「荒れた路面のレースで勝つ」ことを突き詰めたモデルであると私は考えます。
「耐久性」の評価については、そこを踏まえる必要がありそうです。
(ただし、私はレース経験がほぼゼロなので、本レビューはロングライド用機材として見た場合の評価になったことを、ご容赦願いたい)
それにしても、良い製品に、高コストがかかるのは仕方がないとはいえ、このお値段、もう少し財布にやさしくなって頂けないものか……。
価格評価→★★☆☆☆(←不運一発で、チューブ含めて諭吉級の出費になるのは、お財布の耐久力に厳しい)
評 価→★★★★☆(←ロングライド、ファストランでも十分に実力を発揮してくれる装備だと思うが、皮むきは必須!)
<オプション>
年 式→2016年
カタログ重量→230g