購入価格: ¥3,324 (税込) ※Wiggleで¥17,546。BRAの副賞のバウチャーを使用
標準価格: ¥2,1967 (税込)
『相性が良ければ非常に快適。ただし、パッドの量は少なく、シビアなセッティングを求められる』
■ GIANT DEFY1 DISCに合わせて選んだサドル
私は3台目の自転車「GIANT DEFY1 DISC」というロードバイクを手に入れるにあたって、自分の好みの外見にするために、クランクセット、ペダル、そして、サドルはすぐに交換することに決めていた。サドルは2015年モデルのDEFY ADVANCED PROをイメージして「fi’zi:k ALIANTE」をチョイス。さらにDEFY1 DISCのブルーに合わせて、2015 TEAM EDITIONのORICA GreenEDGEバージョンを選んだ。
このサドルの入手には、BRAの副賞であるWiggleのバウチャーを使用。BRAの記念と初めてのロードバイクにふさわしいサドルになった。このサドルはフィット性・快適性が非常に高いサドルだが、パッドの量が少なく、ポジションの調整にはそれなりに時間がかかった。
fi’zi:k ALIANTE R3 2015 TEAM EDITION/ORICA GreenEDGE
■ フルモデルチェンジしたALIANTE
フィジークの「ALIANTE」シリーズは、柔軟性の低いライダーのパフォーマンスを引き出すとされるサドルで、スパインコンセプトの「ブル」に相当する。そして、「ALIANTE R3 k:ium」は、2014年にフルモデルチェンジされたALIANTEシリーズのひとつだ。R3ではグラスファイバーコンポジットシェルによる「TWIN FLEX」構造で快適性が向上、旧モデルよりも高さを抑えたロープロファイル形状になったという。商品名からもわかるように、サドルレールには「k:ium」が使われている。※代理店のサイトを参照
「ALIANTE R3 2015 TEAM EDITION」の基本的な仕様はALIANTE R3 k:iumと同じだが、プロツアーチームを表現したカラーになり、スタッフガードが他に2色付属する。価格はALIANTE R3 k:iumと変わらない。
ORICA GreenEDGEバージョンは、ブルーの差し色が入る。交換可能なスタッフガードも付属 (右)、サドルレールにはk:iumを使用 (左)
■ 確かにロードバイクにマッチするデザイン
ALIANTE R3をDEFY1 DISCに取り付けてみると、デザインもカラーも想像通りの相性のよさだった。特にモデルチェンジによるロープロファイル形状の視覚効果は絶大で、DEFY1 DISCに引き締まった印象を与えてくれる。これならロードバイクにマッチしやすいというのも納得だ。
また、2015 TEAM EDITIONのORICA GreenEDGEバージョンのブルーは色味が絶妙で、DEFY1 DISCにはぴったり。私はこの自転車にはこの色のサドルしか考えられなかった。ALIANTE R3 k:iumは素材感も工夫されていて、先端はスエード調、後部は本革のような風合い、そこに差し色のブルーが入る。スタッフガードのブルーがサドル本体と微妙に色合いが異なるのもポイントが高い。
ロープロファイルデザインはロードバイクにもマッチ。DEFY1 DISCのカラーにもぴったりだった (左)
fi’zi:kのロゴのある帯の前後はスエード調になっている (右)
■ パッドの量はかなり少ない
実際に走行してみると、少なくともこのサドルは「ソファのような柔らかい座り心地」ではない。パッドの量の少なさがかなり影響し、むしろ最初は硬い板のようにすら感じた。パッドの量は、私が所有する旧モデルのALIONEやTUNDRA2よりもずっと少なく、ショップの試乗用のサドルを触ったかぎりでは、旧モデルのALIANTEよりもはるかに少ない。
DEFY1 DISCに付属する「GIANT PERFORMANCE LITE D2」は、ALIANTEの旧モデルと同じかやや上回るパッドの量だが、これならソファのような座り心地ともいえる。ソファのような…と例えるなら、サドルにある程度のパッドによるクッション性が必要だと思う。ALIANTE R3 k:iumは、パッドによって尻の負担の軽減するタイプのサドルではないことは覚えておいたほうがいいだろう。
フィジークのこれらのサドルより、全体的にパッドの量は少ない
■ 硬さの割にはとても快適
パッドの量の少なさによる硬い感触とは裏腹に、実際には尻にかかる負担が上手く分散され、長距離・長時間の走行でも非常に快適だった。DEFY1 DISCの振動吸収性の高さもあって、尻の痛みはほとんど感じない。シェル全体で荷重を分散し、フィット性を高める「TWIN FLEX」による効果はちゃんと実感できる。尚、他の自転車でk:iumのARIONEを使っているためか、サドルレールの影響はあまり感じられなかった。
サドル後部も先端も幅が狭めなので、高いスピードの走行においても、サドルがペダリングの邪魔をすることはない。尻をサドルの前後に動かす乗り方にはARIONEが向いていると思うが、一定のスピードで巡航し続けるなら、ALIANTEは快適で漕ぎやすいサドルだと感じた。
ただし、このサドルが主に快適だと感じるのは、ある程度の高いスピードで左右のペダルに荷重しながらペダリングするようなときだ。ポタリングのように比較的低いスピードで、椅子のようにサドルに腰かけた場合は、板のような硬い座り心地を感じることもあった。ただ、これもセッティング次第であり、DEFY1 DISCの振動吸収性と相まって、現在はどのような状況でも快適に使えている。
パッドのクッション性に頼らず、シェル全体が荷重を分散する構造
■ シビアなセッティングが求められる
ALIANTE R3 k:iumは、くぼんだ形状とパッドの量の少なさのためか、位置や角度のセッティングがかなりシビアだ。パッドの量が多ければ、少々のポジションのズレがあっても尻の負担を軽減してくれそうなものだが、このサドルの硬さではそんな余裕はほとんどない。
私はフラットではないタイプのサドルが久々ということもあり、サドルの前後のどの位置に座ればいいのか探すのに時間がかかった。自分にとって最適なポジションにしたつもりでも、微妙に前すぎたり後ろすぎたりして座る位置が違うと感じることがあった。サドルが前過ぎるとサドル後部が坐骨を圧迫し、後ろ過ぎると前乗り気味になって恥骨を圧迫する。1mm単位での微調整を行って、ちょうどいい位置を探し当てた。
サドルの角度は、サドルの先端がほとんど水平かわずかに前上りになるところに落ち着いた。サドルを前上りにすれば、幅の広いサドル後部に尻の荷重を分散できるが、サドル先端に恥骨が強く当たり、前後位置によっては坐骨も強く当たる。前下がりでは尻の痛みを感じにくかったが、サドルから尻が滑って前に移動してしまう。現在は、サドルのくぼみに尻が収まり、坐骨と恥骨でバランスよく支え、尻に負担が出ないような位置にすることができた。
現在のサドルの角度。サドル後方の幅の広さが効果的に荷重を分散してくれる
■ 好みがはっきり分かれそうなサドル
fi’zi:k ALIANTE R3 k:iumと、アップライトな姿勢がとれるエンデュランス系ロードバイクのDEFY1 DISCとの相性は良好。これはDEFY ADVANCED PROのサドルを踏まえて選んだのがよかった。2015 TEAM EDITIONのORICA GreenEDGEバージョンはカラーもマッチしたので、まさにピンポイントな選択になったと思う。個人的にはとても満足できるサドルだ。
ただ、パッドの量が少なめで、シビアなセッティングが求められることから、使う人によって好みがはっきりと分かれそうなサドルになると思った。前後位置や角度が少しずれると、快適さが得られないといった印象。フィジークならARIONEもTUNDRA2も同様だが、ALIANTE R3 k:iumは特にそう感じる。
fi’zi:k ALIANTE R3 k:iumは、パッドの量が多い万人受けするコンフォート系サドルというよりは、いわゆるスポーツ走行においては快適なサドルという印象。あらゆる乗り方・姿勢・状況で快適性を求めるなら、パッドの量が多い「ALIANTE GAMMA k:ium」のほうが向いているかもしれない。また、サドル先端にパッドの量も少ないので、深い前傾姿勢のポジションをとるなら、スパインコンセプトのカメレオンやスネークに相当するサドルも視野に入れたほうがいいと思う。テストライド用のサドルがあれば、試乗してから購入したほうがいいだろう。
ALIANTE R3 k:iumのロープロファイルデザインは、ロードバイクのルックスに貢献する
価格評価→★★★☆☆ (販売価格での評価。価格が質感に現れている)
評 価→★★★★★ (デザインは最高。快適性が非常に高いが、セッティングはかなりシビア)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→220g (実測では230g)