購入価格 ¥128,000(ファーストロット先行予約者割引適応価格)
巷で話題のホイールショップPAX CYCLEがプロデュースする2014年発売になった新型のカーボンリムを使用した38mmカーボンチューブラーホイールです。(以下PAXカーボンと呼びます)
使用したタイヤはContinentalのCompetition19CとSprinterGatorskin23Cです。
前回までのレビューと同じように平地、上り、下り、快適性、耐久性、見た目と6項目でレビューしていきます。
前のレビュー
RS81-C35(
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=11046&forum=30&post_id=19694#forumpost19694)
MAVIC KSYRIUM SL 2009( (
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=776&forum=30&post_id=19747#forumpost19747)
比較対象はこれらと加えて私が組んだ手組みホイールを加えます。
[手組み] KINLIN XR-19W 32H + 46系Tiagra + DT Champion 1.8mm (
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=10050&forum=30&post_id=17284#forumpost17284)先に結論から言うと、性能面においては超万能高性能ホイールといった感じです。とにかく粗が無い。欠点が無い。しかし没個性といえばそうではなくすべて平均点どころか80点以上をマークしつつ光るものも持っているというようなホイールです。これ以上のものを手にしたいなら恐らく30万円以上を覚悟しないといけないんじゃないかと思わせるほど高性能です。
また、設計の面でみるとはっきり言ってドン引きするくらい拘りが見て取れます。
一個人のショップがここまでやるか!?と思わせるほど考えた作りになっています。そのため、今回は手組みホイールとしてではなく完組ホイールとして投稿させていただきます。
では、性能面の評価からしていきます。
・平地
とても快適です。38mmのリムハイトの恩恵か、CX-RAYの恩恵か分かりませんがとにかく足元でホイールを回してる感覚が無くなるような感じでするすると滑らかに走ってくれます。リムやスポークのエアロ効果だけでなくリムの剛性や軽量性も効いてきてるのでしょうか?多少のアップダウンでも失速を取り返すのが楽なので、巡航してて苦感じるところが殆どありません。
同様のホイールだと私の手持ちではRA81-C35がありますが、平坦を流すだけなら似たようなものがありますがRS81-C35の場合は失速するとその分を取り返すのがとにかく苦なので、PAXカーボンとは雲泥の差があります。
・上り
このホイールを頼むときに、要望としてPAXCYCLEの店長のキクちゃんに伝えたのが緩斜面区間が前半続いて、後半に上るヒルクライムでの決戦用ホイールが欲しい。
と伝えてこのホイールを買ったので、上りでの性能は私にとって最重要になります。実際に乗ってみると、感想としては比較対象をKSYRIUM SLにするとその剛性感をそのまま、軽量化を果たして更に上りに強くなったというような感じです。
ダンシングした時の反応ももたつくこと無く瞬時に反応してくれます。フリーのラチェットが恐らく32(36)ノッチなのでそれも影響してるかもしれません。また駆動剛性が高いからか素直に進んでくれます。ダンシングなどで荒く踏んだ感じの安定感も、流行のワイドリムを採用してるからか、スポークパターンからくるのか分かりませんが非常に高い水準です。
ちなみにスポークパターンはフロントはラジアル、リアはDSが3クロス、NDSラジアルの2:1組になってます。
また重量はこのようになってます。
フロント 530g
リア 695g
合計 1225g
38mmのカーボンホイールとしては結構優秀なんじゃないでしょうか?
・下り
はっきり言って怖いです(笑)
いや、これは性能が低いからじゃないんです。一瞬でトップスピードに達するくらいスピードの乗りが早いからです。RS81-C35の比じゃないくらい下りが速いです。
ブレーキの効きも、横剛性も十分にあるので心配なく下れるのですが、安全に速度を落として乗りたいシーンだとスピードが乗りすぎて恐怖感を覚えます。
お陰で下りでのタイムは今までより早くなりました。下りは苦手だったのでこれは嬉しい誤算です。問題はそのスピードのダウンヒルに私が慣れていないことなので早く慣れなければいけません。
・快適性
フレームやタイヤの種類、空気圧が大きく影響する部分であるので難しい所がありますが、感想としては乗り心地は悪く無いです。同等のリムハイトRS-81-C35に比べると圧倒的に良いです。感じとしては私の持ってる手組とKSYRIUMとの中間くらいといった感じでしょうか?ワイドリムを採用してるので、乗り心地を求める場合は25Cのチューブラーを使うともっと良くなるかもしれません。
ただ、今のところ私は23Cで十分満足できるレベルです。タイヤを携行するのが大変ですがそれを除けば、高性能さも相まってロングライドで是非使いたいです。
・耐久性
これに関しては、決戦用ホイールとしてしようしてるのでレースとそのレース前の1周間の練習でしかつかってないので評価がまだ出来るレベルではありませんが、設計を見る限りだと高そうです。また補修性という面で見ても、スポークは汎用のJベントタイプのスポークでリムも単体でPAXCYCLEが持ってるので壊したときも修理ができるというのは大きなメリットだと思います。
・見た目
見た目の評価はこのホイールでは少し難しくなります。
というのもこのホイールに採用されてるステッカー(リムとハブの部分)は注文時にどんな感じのステッカーにして欲しいか要望を伝えるとその通りにしてくれるからです。
またスポークもシルバーとブラックと選べます。
そのため個人の自転車に合わせたカラーコーディネートができます。
私の場合は今後フレームを変えても合わせやすく、また実用的で実戦的なカラーリングのホイールが欲しかったのでZIPPのホイールのように白文字で背景は黒のステッカーにシルバースポークと地味な見た目になりました。
お陰で私の持ってるどのフレームに合しても違和感なく合わせることができます。
さて、ここまでが性能面での評価です。
次はこのホイールの設計に目を向けてみます。
このホイールはスポークは汎用、ハブは汎用品をベースにスポークホールを特注で空けてもらったものになってるようです。リムに関しては殆ど新規設計になってるようです。なのでこのホイールの肝であるリムに焦点を当てて見てみます。
まずこれはリムの最外周部にあるニップル保持部の写真です。ここの作りなのですが、通常のリムはリムを整形した後にドリルで穴を空けて作るのに対して、これは初めから穴が空いてる状態で整形しているそうなのでカーボン繊維を断裂させること無く整形してあるため耐久性が高いそうです。(ENVEのリムも同様の工法のようです)
例外として、リム内周部のスポークの出口のみドリルで穴が開けられてるようですが、ここの部分は、この場所にニップルを持ってこない限り強度が必要になる部分ではないそうなので大丈夫なようです。
これは某メーカーのリムですが、このリムの場合はニップルが内周部に存在するタイプなので、写真の一番上の部分のカーボンが厚くなってます。
PAXカーボンのリムは赤い部分にニップルを持ってきていて、ここはタイヤと接して地面とも近い位置にあり元々強度が必要とされる部分なのでそこにニップルを持ってくれば、写真の青い線で囲んだ部分のカーボンを厚くする必要が無くなるため軽量化できるのです。その上で、上のディープの部分は単なるカウルではなく一体成型しているので剛性アップに貢献するようになってます。
そして、この位置に持ってくることでニップルを左右にオフセットさせることが容易になるので左右のスポークテンション差の是正に役立ちます。通常の青い線で囲んだ部分にニップルがある構造だとせいぜい少し角度をずらすくらいしか出来ませんが、最外周部にあれば角度だけでなく横にずらすことも可能になります。このような設計になっているためスポークの組み方と本数は完全に限定されてしまいますが完組と言って差し支えない専用リムになってます。
欠点としては、まずタイヤを剥がさないと振れ取りができないこと、そして写真の様にニップルが殆どリムの最外周部分の面と同じ位置にあるのでリムセメントが使えない(ニップルにリムセメントが付着してしまう)ということにあります。(キクちゃんからもこれはリムテープ推奨のリムだと説明がありました)
が、現実的に見ると触れは全然出ませんしチューブラーの貼り付けも今はテープが主流になりつつあるので大きな問題にはならないでしょう。(シクロクロスだとリムセメントが主流なので、問題になるかもしれませんがその場合はPAXにシクロクロス用のカーボンホイールが別にあるのでそっちを頼むのが正解だと思います)
後は・・・まぁリムからスポークが出てくる穴が大きめなのでそこから水とかが侵入しやすいかな?ってのもありますが一応対策として各所に水抜きの穴が空いてるので雨天走行後はできればタイヤを剥がして乾燥させると良いと思います。(でも穴が大きいから乾燥しやすいので別にする必要はないかも?)
・まとめ
価格と性能を考えるとかなりコストパフォーマンスは高いです。
KSYRIUM SLを軽量化して山岳に更に強くした上に平地の順行性も上げた完全上位のホイールというのが私の感想です。
拘りの設計も見れば見るほど、一個人のショップがここまでするのか・・・と思わせるほどです。
スポーク切れ程度なら汎用品が使われてるので補修も簡単そうなのも良いですね。
価格、性能、補修性などを考えるとベストバイと言っても過言ではないホイールじゃないでしょうか?私の場合はファーストロットの先行購入者ということで割引がありましたがそれが無くても十分満足できる価格だと思います。
とりあえず私はホイールに関してはこれで十分満足なので、これから先はひたすら体の方を鍛えます。
ただ、完組みホイールとは言ったものの一応注文時に用途や自分の実力、体重などを伝えた上で組んでもらってるので多少は調整が入ってるかもしれません。それがどれくらいの調整で、影響がどの程なのかは不明ですが他の人の評判を見る限りだと外れるということはないので微調整レベルなのかもしれません。それだけ潜在的にこのホイールが高性能かつ性能の汎用性も高いものなのだと思います。
価格評価→★★★★★(他のメーカーの同価格帯のホイールを買う気が失せる)
評 価→★★★★☆(この上にあるであろうLightweightなどのために★4つ)
<オプション>
年 式→2014
実測重量→ F530g R695g 合計1225g