ポール・キメイジ ラフ・ライド アベレージレーサーのツール・ド・フランス
購入価格 ¥2500+税 大坪眞子訳 発行所:未知谷
1980年代半ばから1989年までヨーロッパでプロ選手だった筆者の手記です。 非常に素朴で、ありのままな感じの文章で、大変興味深いです。 キメイジはアイルランド人で、母国のチャンピオンとなり、フランスのチームに採用されて、 ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアといったグランツールにも出場しています。 ただし、立派なプロではありますが、目立った存在ではありません。 同時代のアイルランド選手には多数のクラシック優勝やツールドフランスの区間優勝、 ブエルタの総合優勝までしているショーン・ケリーや、 1987年にツール、ジロ、世界選手権を勝つというトリプルクラウンを達成したステファン・ロッシュがいます。 比較してしまうと、無名のアシストなのです。
本文中にはプロになるまで、また、プロになってからの苦労が率直に、ただあまり暗くならずに書かれています。 ハイライトである、グランツールの章ではレース中の一瞬の高揚感や、厳しい現実が 妙に気取ったりせず、ドーピングのことですら書かれています。 あら削りですが、いい文章です。
しかし、ドーピングについてはあまりにあからさま過ぎた。 自分についてしか書いていないとはいえ、率直すぎた為に同業者を敵にしたと思います。 原本は1990年に発表され、すぐに絶版となり、フェスティナ事件のあった1998年に再刊されたとのことです。 読んでいてとても面白かったのですが、ヨーロッパでも出る杭は打たれるのだなと感じました。
価格評価→★★★★☆ 評 価→★★★★☆ <オプション> 年 式→1999
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