購入価格 ¥4888- (ワールドサイクル)
国産タイヤならIRC!
カタログでも日本生産モデルはマークを付けてプロモーションしている、なかなか筋の入ったIRCこと井上ゴム。
IRCのクリンチャータイヤのフラッグシップに位置するのが、このASPITE PROというモデル。
ただ、IRC自体は、クリンチャータイヤよりも、どっちかといえばチューブレスを特筆したいメーカーというのもあって、なかなか話題に上がりにくいASPITEです。
ASPITE PROはDRYタイプとWETタイプの二種類があって、自分がチョイスしたのはDRYタイプの24C幅。
DRYタイプとWETでは、表面のサイピングパターンが異なっていて、DRYは浅いエンボス調?とも思える模様の入ったスリックタイヤ、WETはやや深めのスギメ調が入っています。
表面の処理だけでなく、エンジニアの話によると、DRYとWETではコンパウンドが違う模様。
タイヤの幅は、ちょっと前にVittoriaのDiamanteがやってたような24Cと26Cという、なんだかちょいファットなラインナップ。
しかし、実際のところ装着して、空気を充填してみてもあまりファットな印象は受けませんでした。
やはりこの部分はリム幅のほうが要素として大きいんじゃないかな。
■なんで手に入れたの?
とにかく周囲の評判が良かったんですね、行きつけのショップの店長さんいわく「最近タイヤはずっとこれですよ」というお話。
軽くて転がりも良いし、どうもソーシャルやネットの話も調べてみると信頼性も良さそうだ。
なので、すでに使っていたミシュランPRO4がバリ山だったにも関わらず、ブルベ用にペアで購入。
IRCはあまりガイツーで見かけるブランドではないので、必然的に国内通販で購入です。
■使ってみた感想。
極普通の良いタイヤです。
優等生的によく走るタイヤといいますか……転がりも良いです、蹴りだしはやや重さを感じますが、ミシュランPRO4よりも速度が乗った時にゴロゴロ行ってくれる感じ。
乗り心地は、そう悪いものではないけど、やや硬いかなという印象、特にサイドウォールの剛性がなかなかある。
高速でカーブに進入して、バイクを倒しこんだ時にサイドウォールが粘って変形する感じがなく、ガッシリ感がある。
これはIRC曰く「耐パンクガードが全面に入ってる」「ビード部分にエアロフィンがついている」という部分が起因しているのかもしれません。
コーナーの新入でステアを切って、バイクを倒しこむ、エイペックスを回りこんでややバイクを起こし、自転車を振るようにダンシングで加速してみる……
そのカーブの間、(空気圧にもよるのでしょうが……自分は7気圧後半くらいでしょうか)タイヤの変形を感じることが少なく、グリップ感に一貫性があるんですね。
変形が少ないから、どういう操作をしていても、伝わってくるロードインフォメーションに一貫性があって、路面状況に対して自分の走りのイメージの照らしあわせがやりやすい、そう言った側面もあるかなと思いました。
ただやはり、耐パンクガードが側面にも入ってるので、乗り心地は悪くはないですが、あまり「しなやか」なタイヤではありません。
チューブもパナレーサーのR-Airとミシュランのラテックス、両方試しましたが、他のタイヤに比べるとブチルとラテックスの差を、それほど感じることはありませんでした。
グリップ感はそこそこ、DRYですがウェットグリップもそんなに悪くはないです。
ですが、やはりサイドウォールの剛性とトレードオフな部分でしょうか、限界を超えてからの滑り出し……「ズルッ」っていうのは急激な印象を受けます。
その部分で言えばVittoriaのRubino G+のほうが、グリップ限界での操作性は余裕がありそうな感じです。
やはりウェットグリップならWETに、と言う感じでしょうか。
それから特筆すべきは、信頼性、耐久性ですね。
買って1年間履いてましたが、表面のゴムが劣化する感じはありませんし、耐パンク性も良いですね。
実際3000kmほど走りましたが、ブルベを2本、その他林道も何度か走りましたが、パンクは一度もなし。
……そもそも、自分自身、あまりパンクするような走りはしていないですし、他のタイヤでもノーパンクのまま使い切ったりというのもありますが、トレッド面の些細なひび割れや、パンクには至らないような突き刺しダメージ、他のタイヤに比べると明らかに少ない感じを受けます。
耐摩耗も良い。
こう言う部分から耐パンクに関しては、多分他のハイエンドクリンチャータイヤよりもかなり重点を置いた設計にしているのではないでしょうか。
■総括して
とにかくパンクが心配だけど、走るタイヤがほしい!という、ファストラン的なロングライドに取り組んでる人、いっぱい走る人には、良いチョイスじゃないでしょうか。
摩耗性も優れているから、ライフも長いし、タイヤも軽いから、レースで使ってもいい。
スムースな路面なら、サイドウォールの剛性感との相性も良さそうだし、ダンシングでもがいても、ヨレる感じが薄い。
ただ、個人的な好みで言えば、ちょっと僕の趣味のタイヤじゃなかったかな……
ちょっとしっくりこなかった部分としては 「蹴り出し」 での進み方が無表情というか、ちょっと「楽しくない」んですよね。
ペダルに体重を載せて、グイッと漕いだ時の反応がドライというか……ちゃんといい走りをしているんだけど、Vittoriaのようなワクワク感がないですね。
チューブや空気圧を変えてみたり、いろいろやったんだけど、仏頂面というか、あまり表情の豊かな走りではないんですね。
そこがね。
でも、まぁ、そういうのが好きっていう人もいるんじゃないかな。
■余談
・以前のレビューでも書かれてるように、ホイールにもよると思いますが、タイヤははめづらい部類だと思います。
そもそもビードがかなりしっかりしてます、それからエアロフィンね、ビード部分そのものが結構ヘビーデューティーに作られてる。
ただ、精度がいいんでしょうね、フィンで盛ってみたり、これだけ硬くがっしりしてても、ビードが出にくいっていうことはないです。
はめるのも、外すのもやっぱりちょっとタイヤレバーないと、苦戦しちゃうと思います。
タイヤレバーもガッツリ力かけるシチュエーションが多いと思うので、レバーやビート部へのチューブの噛みこみは結構気を使って取り扱ってあげるといいと思います。
価格評価→★★★★☆(なかなか良心的な定価だと思う)
評 価→★★★☆☆(良いタイヤだと思いますが、ちょっと趣味じゃないかな……)
<オプション>
年 式→2014
カタログ重量→ 205g(24C)