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自転車ブームが云われて久しいが、TVでも自転車番組が次々と現れて結構楽しませてくれる。
さて、2013年6月から毎週日曜日の夜、栃木テレビで放送されているこの自転車番組の楽しさは、実は出色である。その理由は、この番組が、『とちぎテレビ開局15周年記念番組』だから、というだけではない。
宇都宮ブリッツェンのGM廣瀬佳正氏、お笑いコンビ「だいまじん」のだいじ氏(山根大嗣)、ブリッツェン・フェアリーの伊藤怜氏、この3人が繰り広げる実走・実用番組がRide ON! だ。栃木県内のおすすめコースを紹介するのが主題なのだが、地元民にしか知られていないような低山を次々とヒルクライムするなど、なかなか面白いコースも紹介するのが素晴らしい。栃木の道を隅々まで知り尽くしている廣瀬氏ならではのコース選択、というべきか。典型的ローカル番組だ。そしてブリツェン・フェアリーの伊藤怜氏は坂で弱音を吐くでもなく、普通に頑張って上っていく。ステキである。
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それにしても宇都宮ブリッツェン創設の首謀者にしてチームの現ゼネラルマネージャ廣瀬佳正氏。昨年まで熱い走りを披露してファンを大いに唸らせてくれたこのひと、ただ者ではない。とにかく次の資料画像をご覧いただきたい。
Ride ON! 10月20日放送から引用 (※この資料画像の引用無しでは本稿の論述が不可能であり、したがって引用は法的に問題なしと筆者は判断します)
ごらんのとおりである。もうすぐハロウィーンだから仮装してきた、という廣瀬氏は涼しい顔でこの先のヒルクライムの終点にある古い神社の説明をする。このフリに対して絶妙のセンスでさりげなくつっこみ返すだいじ氏と玲氏。廣瀬氏の話を聞くだいじ氏も股間に神社の鈴を模した飾りをつけている。(3人ともさすがに走るときは真っ当なウエアを着ている)
6回目あたりの放送では、廣瀬氏のこんな感じの発言もある。
廣瀬氏 : ここ栃木県田沼町は日本のど真ん中、つまりヘソ、ですよレイちゃん
玲氏 : ヘソ、ですか
だいじ氏 : ちょーっと、いきなりですか!
廣瀬氏 : いやこれは違うぞ、オレは普段もっと言ってる。こんなもんじゃねぇぞオレは
だいじ氏 : こんなもんじゃないですよね、廣瀬さんのは
廣瀬氏 : おれはこんなもんじゃないぞ!1ロケ1エロ、栃テレは変わるんだ!
だいじ氏 : 変えるんだ!
玲氏 : ・・・
以上、かすかな記憶から再現した。
一見、廣瀬氏のおふざけが暴走気味のように見えるが、3人の直向きさ、仲の良さが楽しさにつながっていて、むしろ清々しさ、さらには不思議なカタルシスさえ感じるのである。
無論、GM廣瀬氏。スポンサー絡みの商品紹介コーナーなど、マジメな場面はとことんマジメ。この現場適応力、やるときは徹底的にやるというダイナミックレンジの大きさが、氏がロードレースの世界で成功してきた原動力ではないだろうか。また、スキルシマノ時代の盟友で、今季宇都宮ブリッツェンで調子を上げてきた屈指のスプリンター、鈴木真理氏が、この番組にゲスト出演したおかげで、実は廣瀬氏に負けず劣らずの愛すべきロードマンであることが発覚してしまったことも忘れずに記しておきたい。それが鈴木氏にとって良かったのかどうか、それは謎ではあるが。
今季でブリッツェンの監督を退任する栗村修氏とともに、今後も廣瀬氏の動向からは目を離すことができないだろう。
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ところで、このローカル番組が関東圏の千葉テレビでも放送されているというのはかろうじて理解できるが、なぜか岐阜放送でも流れているらしい。不思議だ。
評 価→★★★★☆ 低製作費で手作り感満載の楽しいローカル番組
年 式→2013