購入価格 ¥1,800
一迅社の月刊誌、Comic REXで連載中の自転車漫画『ろんぐらいだぁす!』の作中で登場人物達が走ったコースのツーリングガイドと、多数の作家による自転車アンソロジーコミック、さらに『ろんぐらいだぁす!』の番外編小説を収録した一冊です。
『ろんぐらいだぁす!』には自転車同人誌『LONGRIDERS』が企画協力しており、本書の製作陣とも多数が共通しているからか、誌面のパッと見での印象が非常に似通っています。といっても内容は大きく異なり『LONGRIDERS』は実走レポートがメインなのに対し、本書はツーリングガイドとアンソロジーコミックがメインとなっています。
実走レポートとツーリングガイドのテキストはすべていしこう氏、イラストはすべて三宅大志氏が手掛けています。本の成り立ちから考えると当たり前かもしれませんが『ろんぐらいだぁす!』の担当編集者と作者のコンビです。同じコンビで約70ページも続くため、一本調子になりかねないところですが、吹き出し台詞つきイラスト(半ページ漫画、1ページ漫画というべき?)がアクセントになっています。
ツーリングガイドではグルメスポットや見所はもちろんですが、自転車で走る上での要注意点が細かく記載されており、コミックを入り口に自転車に興味を持った人への気配りが感じられます。食事の記述が良い感じに興味を惹き食欲をそそる書き方で、機会があったら食べたいと思わせます。特にラーメンには執筆者の熱意が感じられ、簡潔な記述ながら実に旨そうです。
ガイドは残念ながらモノクロページなので、せっかくの「絶景」や「大パノラマ」も、モノクロのイラストと小さな写真でしか見る事ができません。大きなカラー写真で見たいところですが、値段が大きく跳ね上がってしまっても困るので仕方がありません。
とはいえ、どんなに贔屓目に見ても、4本中3本が長野という地域的な偏りは玉に瑕です。関東より南に住んでいる読者が本書をガイドとして活用するのには、それなりの気合いが必要でしょう。
紹介されているのは峠ばかりなので『ろんぐらいだぁす!』ではなく『ひるくらいまぁず!』じゃないかとツッコミたくなる人もいるかもしれませんが、日本でロングライドをすると自然と峠のひとつやふたつは越えてしまうものなので、そこは気にしない方向で。
アンソロジーコミックは全7本。真夜中ポタや通学ヒルクライム、自転車&ごはんなどの“分かりやすい”作品から、ローラー台でのダイエットや自転車を買うためのバイト(自転車自体はほとんど出てこない)などといった“分かり難い”ものまで、きちんと自転車漫画として成立しており、ここ数年で一気に盛り上がってきた自転車漫画というジャンルの“いま”と、送り手と受け手の双方の進化(もしくは深化)が実感できます。
完結までレビューは控えていますが『ろんぐらいだぁす!』本編も面白く読んでいます。連載が続けばそれだけコースも増えるはずなので、ツーリングガイド続刊の期待も込みで応援します。
価格評価→★★★★☆(高くはない)
評 価→★★★★☆(ツーリングガイドの偏りが玉に瑕。ろんぐらいだぁす!と自転車漫画に興味がなかったらマイナス1)
※ルートラボへのリンク※
・実走レポート
フレッシュ2013倶利伽羅峠
http://Yahoo.jp/2EE6Cl・ツーリングガイド
嶺方峠
http://Yahoo.jp/m-VYNp ヤビツ峠
http://Yahoo.jp/fgIEGw 渋峠
http://Yahoo.jp/ORWMYF 木崎湖
http://Yahoo.jp/6HeOtf