購入価格 ¥6000円くらい@wiggle
馬鹿野郎!
何が「抑えめの心拍でこなす日」だ!
ヒルクライムってもんはそういうもんじゃないだろ!!
ヒルクライムってのはなあ、クライマーとクライマーの、男と男の意地のぶつかりあいなんだよ!!
山で自分より前を走ってる奴がいたら許せないとは思わないのか!
どうやら、俺のレースでのあの出来事を話さなければならないふいんきのようだな・・・
あれは俺が英彦山サイクルタイムトライアルに出場し、受付を済ませてさぁ今からジャージにゼッケンをつけるぞというときのことだ。
この期に及んで俺は往生際が悪かった。
ツールドフランスの山岳レプリカジャージを着るつもりだったのだが、所狭しと並んだ並み居る強豪を前に気後れしてしまい、念のために持ってきていた前面一部にのみ赤い水玉をあしらったウールジャージに逃げようかと気の迷いが生じていたのだった。
俺「やっぱりちょっとおとなしめに、こっちのウールジャージのほうにしておこうかなぁ・・・
バリバリの山岳ジャージでいい走りができなかったら恥ずかしいしなぁ・・・」
その時だった。
となりのハイエースの後部座席のドアが開いたかと思うと、鮮やかな空色のアスタナジャージに身を包んだ見るからに屈強なおっさんが現れ、俺の側頭部に不可避の剛拳を叩き込んだ。
ゴガァァァーーーン!
俺は大量の安全ピンとともに吹っ飛ばされ、朝焼けの空を高々と舞った。
アスタナジャージ 「『いい走りができなかったら』って何だよ!できるかできないかじゃない、やるんだよ!!」
そんなこともあり結局俺は初志貫徹、ツールドフランス山岳レプリカジャージの方を着用してレースが始まった。
序盤の戸立峠までの緩斜面を、俺とアスタナジャージを先頭に第2集団が行く。
アスタナジャージ 「先頭集団を追おう。まず俺が引く。」
俺はその申し出を受けたのだが、次の瞬間、アスタナジャージはギアを2枚ほど上げて、一気にペースアップしたのだ。
俺は思った。
俺「こいつ・・・どうやら俺に上り勝負を挑んでいるようだな!ここで負けたら男じゃねー!!」
デヤァァァーーー!!
気合一閃、俺もすかさずギアを上げて、ダンシングで加速、くらいついた。
後続がちぎれ始めたからか、アスタナジャージがいったん腰をおろし、ペースを緩めようとした。
ごめんごめん、ちょっと速すぎたかな?とでも言いたげだ。
そこで、俺はすかさずこう言った。
俺「いや、緩める必要はありませんよ。俺もちょうど足が温まってきたところです」
ヌオォォォォーーーー!!!
俺はさらにギアを上げると、すでに心拍160を超えている体に鞭打って先頭に踊り出た。
後続は完全にチギれたが、アスタナジャージだけはさらにケイデンスを上げてついてくる。
俺「こいつ・・・まだあきらめないのか・・・しかし俺もクライマーのプライドにかけて負けるわけにはいかん」
あと数十メートルで戸立峠だ。どうやらこれが最後の勝負になりそうだな・・・
なかなか骨のある男だが、見る限り次のシフトアップはない。
俺はもう一枚行ける。ラスト20メートルでシフトアップし、ケイデンスを落とさずに回し切れば勝てる!
俺は下ハンを握りしめ精神を統一し、アタックの瞬間を待った。
今だァァァーーーーー!!!
渾身のアタック。アスタナジャージの気配が1メートル、2メートルと後退していく。
勝った。俺は勝ったのだ。
男と男の、クライマーとクライマーの意地のぶつかり合いを制したのだ。
アスタナジャージはおろか一度はチギった第2集団全員にその後の下りで抜き返されたが、そんなことはどうでもよかった。
俺の心はもっと崇高な喜びに―――プライドをかけた勝負に勝利した喜びに―――満たされていたのだから。
薄れゆく意識の中、俺は天国のおじいちゃんの声を確かに聞いた気がした。
「つよし、山の神はゆっくり降りてくるものじゃよ」
そうなのだ。
クライマーなら、下りが遅いことは何も恥じる必要はない。平地もドン亀で構わない。
しかし、上りでの勝負は、上りでの意地の突っ張り合いだけは、決して後れをとることがあってはならないのだ。
【要点をまとめます】
【涼しさ】
★★★★☆
MAVIC プラズマジャージの感動的な風抜けを知ってしまったので★4つだが、普通に良い夏用ジャージである。
【速乾性】
★★★★☆
同じく。
【フィット感】
★★☆☆☆
これは体型、用途、好みによって全く異なるので、話半分で。
フィット感と型崩れのしにくさを重視したハーフジップタイプで、いくらか脱ぎ着のしやすさは犠牲となっている。
身長170cm、体重60kg、チェスト91cm、ウエスト73cm、リーチ174cmの私はサイズ表に従い、Mサイズを購入。
丈はちょっと長めだが許容範囲。
しかし横はかなり余裕があり、「ブカブカ」にあと一歩というレベルである。
もう一着持っている山岳ジャージ(bianchiの。製造はnalini)がSでちょい小さめだったので
今度はMにしたのだが、それが仇になった格好だ。
写真で胸のあたりの余り具合が一目瞭然。
左がLe Coq Sportif Tour de France Climbers Polka Dot Jersey(サイズM)、
右がbianchiの(サイズS)。
【防臭性】
★★★★☆
普通に良い。
【耐久性】
★★★☆☆
これはまだ未知数。
1年で、20回ほど着ただろうか。
とりあえずどこにも傷み、ほつれ、伸びなどは見当たらない。
総じて、クライマーのマストアイテムであり、性能的には普通の夏用練習ジャージ。
これを着て山で無様な走りをすることは許されず、気持ちを高めるのにこの上なく有効。
レースやイベントにこの柄以外のジャージで参加することは考えられない。
価格評価→★★★☆☆
(どうやらあまり数売れるものではないからか、あまり安くならないようだな・・・)
評 価→★★★★★
年 式→2012