SHIMANO SH-R171
購入価格 ¥21600(定価)
シマノの新作ロードシューズシリーズのセカンドグレード。シマノ自身がレース対応を主張する2モデルのうち一つ。
珍しく定価で買った。そもそも本品に狙いを定めていたわけではなく、ロードビンディングペダル導入に伴ってのシューズ探しと、きちんとしたフィッティング、乗り換えに当たってのアドバイスなどを求めていたので、新宿の某有名チェーン店に何度か足を運び、いろいろ試着する中で選定され、購入されたものである。個人的には、熱成形云々を抜きにしても、実店舗で知識あるスタッフの方にモデル選定のところからサイズの調整までいろいろと相談してもらえたので、価格の1割なり2割分はそのことで相殺されているように思える。価格評価にも、その分上積みさせていただいている。裏を返せば、そのへんの対応をおざなりにするショップには、実店舗の意味はないということですね。
◯●足型に合う点、合わない点
それほど顕著ではないが、自分も日本人にありがちな甲高タイプ。他のスポーツシューズやスニーカーでいえば、リーボックやニューバランスの細長いラスト(足型)は×、よってSIDIやNorthwaveのフィット感はいまいち(極端な話、固いソールの上から小指がはみ出すような感じを受ける)。そんな中、シマノのラストは自分に合うようであった。
履き方、フィッティングの判断のしかたを教えていただきつつ、時間をかけて選んだサイズは39のワイド(ワイドタイプは品番の後ろにEがつく)。
ただし、自転車シューズを選ぶ上で、あちこち歩き回った上で午後遅い時間(足のアーチ構造が広がり、むくみもあって一番サイズが大きくなる条件)にフィッティングを受ける必要はなかったかもしれない。ワイドラストが合うな、と思っていたが、ベルクロとラチェットをほどよく締め込むと、アッパーに若干のシワが。じつはノーマルフィットでも大丈夫だったのかもしれない。
シマノでは、甲の高さに対応すべくラチェットのベルトのできるようになっている(いろいろみた限り、シマノだけだったし、お店の人もそう言っていた)。2mmのヘックスレンチがあれば、取り付け位置変更は簡単である。
インソールは可もなく不可もなく、というようなものが付属する。自分に取っては、もう少し土踏まずが高いものが好みにあっているような感じがするので、個々感覚に沿うものを物色してやればいいと思っている。上位機種の熱成形インソールがオプションで買えたりすればいいのに。
◯ソールの反り
シマノが言うところの、ペダリングロスを軽減する「ダイナラスト」搭載である。若干ソールの反りを大きくして、つま先位置を調整すると引き足位相での股関節の可動域が大きくなり、ロス軽減になるそうな。全然体感できなかったけど、使用したクリートのフィットはよかったし、デメリットを感じなかったから、「そうなのね」と思うことにしましょうw
◯●巻きつくようなアッパーのデザイン
足の内側(親指、土踏まず側)のアッパーが足の甲の頂点あたりまで伸びていて、2本のベルクロの折り返しループとバックルがその先端についている(2ベルト、1バックルデザイン。スキーブーツの表現を借りて言えば)。自転車シューズとしてはかなり奇抜なデザインである。内側のアッパーが伸び縮みせず剛性のある素材からなる1枚パネルで、足の内倒を抑制しペダリング効率に寄与する由。外倒は?と訊こうと思ったが、それは許容した方が(少なくともシューズ側で拒否しない方が)障害が起きにくいのだろうか。そういえば、剛性が正義!の競技用アルペンスキーブーツで、同じような思想でアッパーを延長しているものがあったかもしれない。そんなわけで、一般的な「タン」はこのシューズにはない。小指側のアッパーが、下側で同じく巻きつくようになっている。そんなわけで、履く時にちょっとだけ気遣いが必要(いちおう、遊ばないようにゴムでつながっています)。
この余計な重なりが少ない構造、固定位置が足の甲の頂点近くにある構造がフィット感と固定力に貢献していそう(新聞紙を束ねるとき、角で締め付けて縛るとしっかり束ねられますよね?その理屈と考えてます)。履く時にバックルをベルトへ押し込んで固定する(バックルは上側に位置する内側アッパーに位置しています)わけだが、それ以上レバーを使って締め込む余地がないくらいの感じで固定できてしまうのが面白い。
ちなみにシューズの外形がSlickになった結果、ちょっとだけ空力が改善しているようだが、そんなの体感できるわけがないw
それよりなにより・・・その機能性をアピールする配色にしちゃうはどうなのよ。だからFunction is sperior to beauty な哲学だとw
http://forums.cbnanashi.net/showthread.php?pid=9816#pid9816それが嫌で、黒一色のやつをお買上げさせていただいた(白黒は売れ残るのでは?といらぬ心配をしている)。
ついでに言えば、その自慢のアッパーに大きくあの「SHIMANO」の文字も、あまり美しくない。シマノさん、メーカーロゴをもう少し凝ったものにしません?ホイールのデカールも、読めないくらいエッジの効いたモデル名と、可読性の高すぎるメーカーロゴのギャップがありすぎですよ・・・
話を戻して。
◯ダイレクト感
履き替える前のシューズはLakeのXCレーシングシューズであった。力の逃げる感じが全くない。MTBシューズはアッパーや履き口も普通のスニーカー的なのに対し、ロードシューズはアッパー全体が薄く、なんというか、ドレスシューズの作りを思わせる。ソールも薄く、それでいて固い(これは思ってもみなかった:クリート装着面から足裏までは、XCレーシングシューズでも大差なかろうと思っていたのだが)。シマノの指標で言うと、10/12。これより固いものは、トップグレードで熱成形対応のR321となる。
かと言って、ビンディングシューズをそれなりに長いこと使ってきたためか、固さによるデメリットは感じなかった。
いろいろ言ってはみたものの、ペダルシステムが全然違う分を差し引いても、感覚が違いすぎて評価に困っている。率直に言えば、ペダリングのみに特化するというのはこういうことか!という感じ。ロードシューズのレビューになっていない(苦笑)
ちなみにソールはUDカーボン(グラスファイバーも混じっているらしい)。つちふまずから踵にかけては2本のリブが入っていて、剛性に寄与していると思われる。
●ヒールゴムは一体型
あっという間に減るということもなかろうと思うが、ヒールのゴムは1cmほどの高さのものが一体成形でついている。幅があるので安定感はある。交換式はSIDIのアイコン?みみっちいせいかくなので、ちょっとだけ気になっている。
◯軽量
ソールのノブがないし、アッパーの作りが薄いためにかなり軽量。
まあこれは、MTBXCシューズと比べるのが無茶な話ですね。
●個人的にはつま先の補強が欲しかった
一体、いつの間にやらかしたのか分からないがつま先が削れてしまっている。多分3本ローラー乗車時にフロントホイールと接触させてしまったのだろう。つま先の補強、プロテクターが欲しいかもしれない・・・小さいフレームに乗る可能性の高い小サイズ限定でもいいから、なんて余計に虫のいいお願いかもしれないが。
[保留]通気性
ソールのつま先に通気穴、アッパー小指付近がメッシュ、その他もパンチングで通気が図られていて、「涼しさでは高温多湿を前提とする日本メーカーに分がありますよ」という店員さんの評価もあって期待している。購入が10月(リリース直後)であるために、ここは追々。シューズカバーをつけて出撃する冬季にスースーしたのは、クリート前方にあるソールの通気穴から冷気が入ってきたということだろうか?
上位機種のR321は、たしか指先にも通気のためのメッシュがあった。涼しさを求めて上位機種、と言うのもおかしな話だが、参考に。そういえば、熱成形でフィットさせてしまった後の通気性ってどうなんでしょうね?
総評、レース仕様と割りきらずともつかえる、ワイヤー式とは別のアプローチでフィット感や固定力を追求したシューズ。BONTとSHIMANOはフィット感や固定力へのアプローチが似ているかも分かりませんね。基本的な足型はまったく違いそうですが。
価格評価→★★★★☆(定価¥18000くらいだと嬉しい)
評 価→★★★★☆(日帰りツーリング、ロングライドには十二分な性能、ただしデザインが残念(
カタログ重量 486g(サイズ40)