サイクルスポーツ2012年2月号P.17に掲載されていたカンパニョーロEPS(エレクトロニック・パワー・シフト)の広告。
この広告のキャッチコピーは次のようなものだ。
「私は人生の半分を自転車に乗って過ごした。残りの半分は、ただの浪費だ。」
Campagnoloの雑誌広告といえば、以前レビューした「Class of 11」の広告がほとんど布団が吹っ飛んだレベルの超誤訳であったのを思い出す(以下URL参照)。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=8129&forum=48&post_id=13908#forumpost13908そのためオリジナルの英語なりイタリア語を見ないとこの訳が正しいのかどうかわからないが(探してみたが見つからなかった。Procycling誌にはまだ広告なし)、たぶん今回は間違っていないだろうと思う。意味が通っているからだ。
CBN訪問者には、一回のライドが五時間や六時間という人も珍しくないはずだ。また、複数人で走っている人、ソロで走っている人、様々だと思う。単独走をしている人は、基本的に五時間も六時間も誰とも言葉を交わすことなく黙々とペダルを回しているわけで、グループで走っている人でもおしゃべりは本当にたまにではないだろうか。
私達にとって、五時間も六時間も黙々とべダルを回し、100km以上の距離を乗ることは特別なことではない。しかし、この広告のキャッチコピーを見て、ハッとさせられた人は多いのではないか。
たぶん、スポーツサイクルの愉しみを知らない一般の人々から見れば、週末に半日も家を空けて自転車に乗るということは壮大な時間の無駄なのかもしれない。
「人生の半分を自転車に乗って過ごすなんて、人生の半分を浪費するようなものだ。」そういう一般的な認識を仮構し、その認識に対するカウンターとして、このキャッチコピーが誕生したわけだ(と、推測する)。
言うまでもなく私達にとって、自転車に乗っている時間は浪費などでは全くない。自転車に乗っていない時間が「ただの浪費」とまでは、私には言い切れないが、この広告のメッセージは非常によく伝わってくる。
惜しむらくはこのキャッチコピーと、カンパの電動コンポ、左肩にタトゥーのある上半身裸の男の三者間にどのような意味的連関が企まれているのかがやや不明な点だろうか。全体としての統一感が薄い。
評 価→★★★★☆ キャッチコピーが良かった
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年 式→2012