購入価格: ¥4,000 (税込)
標準価格: ¥5,100 (税込)
『リムハイトの割に軽量なコストパフォーマンスに優れたリム。値段の割につくりが丁寧で仕上げが美しい』
■トラックホイール用に選んだリム
KINLIN XR-300は、リーズナブルな価格でトレーニングや普段使いに最適なアルミリムだ。PAXCYCLEにGIANT FIXER Rのためのトラックホイールの作製を相談した際に、リムハイトとカラーを指定したらこのリムを提案された。トラックホイールとしてのバランスを考慮してこのリムが選ばれたようだ。
実はクロスバイクのホイールに使ったDT Swiss RR585が気になっていたのだが、私の要望を考慮して提案されたリムだし、RR585との違いも体験したかったので、提案通りこのリムでホイールを組んでもらうことにした。
30mmのリムハイトの割には、カタログ重量が450gと軽量に仕上がっているのが特徴だ。RR585より、カタログ値で135gも軽い。この軽さがトラックホイールの使い勝手にどのように影響するのかとても楽しみだった。
KINLIN XR-300 32H Blackを使ったトラックホイール。
■値段以上の美しい仕上げ
KINLINのリムがリーズナブルな価格なのは助かるが、加工精度や表面処理はどの程度のものか不安だった。その不安は実際に届いたホイールをみて解消された。
このリムのブラックは塗装なのかアルマイトなのか分からないが、濡れたような深みのある光沢感は非常に美しい。ピカピカに輝き、物が映り込むほどきれいだ。FIXERに取り付けた、クランク、ブレーキ、ヘッドパーツ、シートポスト等のアルマイトブラックとも見事に調和する。ただ、自転車やパーツによっては光沢感が強すぎて合わないかもしれない。どの色にも無難に合うのは、RR585のような反光沢のリムだと思う。
ブレーキ面のCNC加工、ピンジョイントによる接合など、細部の仕上げも表面処理同様とても丁寧な印象。美しさではRR585といい勝負をしていると思う。
KINLINのリムの印象を悪くするのがダサいステッカーだが、私のホイールにはステッカーが貼られていなかった。オリジナルのステッカーを作成して貼付けることも考えたが、このリムの強い光沢の美しさを生かすために敢えて貼らなかった。
RR585に比べても遜色のないきれいな仕上げ。FIXER純正ホイール(画像右)とは雲泥の差。
■性能のバランスに優れたリム
KINLIN XR-300のリムハイトの高さは、ラージハブと高めのテンションのスポークと相まって、ホイールの高い剛性感に貢献している。踏めば即座に前に出るし、ダンシングでもブレを感じない。固定ギア特有のダイレクト感もよりいっそう高まり、バック踏みでさえホイールと直結するような感覚が得られる。
このリムはホイール全体の軽さに貢献し、FIXER純正ホイールより281gも軽くなった。変速できないシングルスピードではこの軽さの恩恵は大きく、ゼロからの加速はもちろんのこと、都内の頻繁な加速と減速が楽になった。また、27km/hくらいまでは努力感なく出せる。
RR585を使ったリムと同様、20km台後半からフッと軽くなって巡航しやすくなる。エアロ効果なのかもしれないが、同じリムハイトのFIXER純正ホイールでは感じなかった。エアロ効果を感じるよりも、その他のロスが多かったのかもしれない。
ただ、平地巡航や直進性はRR585の方が向いているような気がした。ホイールが前に突き進むような感覚や硬い円盤が転がるような感覚は薄い。これはRR585のリム自体の剛性の高さが関係しているのかもしれない。
ちなみに、クロスバイクのホイールでは、平地巡航を重視してオーダーした。車道を30km/hで走り続けるような場合にはRR585が向くということなのだろう。目的・用途によって最適なリムがあり、必ずしも値段によって左右されるわけではないようだ。
左: FIXERに取り付けたRR585を使ったクロスバイク用のホイール 右: FIXER純正ホイール
リムハイトが同じでも性能はかなり異なる。
■ブレーキ性能、ブレーキ面の強度も満足。ただし、摩耗インジケーターはない
CNC加工されたブレーキ面とBR-5700との相性は抜群で、スピードのコントロールがしやすくしっかり止まれる。申し分のないブレーキ性能だ。ブレーキがリムのブレーキ面を擦るような音もしない。静かにスッと止まれるのがとても快適だ。
RR585が溶接ジョイントだったのに対し、KINLIN XR-300は安価なリムに採用されているピンジョイントだ。ただ、精度の高さは完成車付属のホイールのピンジョイントとは段違い。走行中にカツカツとブレーキが引っかかるようなことは全くない。
ドライコンディション用のブレーキシューR55C3を晴天時に使った感じでは、リムへの攻撃性も少なく、高い耐久性が期待できそうだと感じた。ブレーキシューにはリムの破片の突き刺さりや、銀色の金属の粉の付着などはない。尚、このリムで雨天走行は試していない。
ただ、このリムのブレーキ面には摩耗インジケーターがないのがちょっと残念だ。FIXERではあまり長距離走行しないし、リムの摩耗のチェックするのはまだ先だが…。リムの摩耗のチェックは、金属製の定規を当てる等、目視で行うことになりそうだ。
ブレーキ時に継ぎ目での引っかかりは感じない。
■トータルバランスとコストパフォーマンスに優れたリム
私が使った感じでは、KINLIN XR-300にこれといった弱点は見つからない。RR585は平地巡航しやすい代わりに漕ぎ出しや上り坂に重さが影響すると思うが、XR-300なら軽さ、剛性、エアロ効果、ブレーキ性能、ルックス等のトータルバランスに優れたホイールができると感じた。KINLIN XR-300はコストパフォーマンスが高くておすすめできるリムだ。
ホイールを換装したGIANT FIXER R。
価格評価→★★★★★ (この内容で4,000は安い)
評 価→★★★★★ (トータルバランスとコストパフォーマンスに優れたリム)
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→450g