「サイクリング」
先日、自転車に興味のない人に「休日には何をするのか?」と訊かれたので「サイクリングに行く」と答えたところなぜか爆笑された。最初はなぜ彼らが笑っているのか分からなかったがすぐに私が「サイクリング」という言葉を使った事に対して笑っているのだということに気付いた。良い気分はしなかったがムキになるのも大人気ないと思い力無い愛想笑いをしてその場はやり過ごしたが内心は釈然としない思いがあった。サイクリングに行くことを「サイクリングに行く」と言ってなぜ笑われなくてはいけないのか・・・。
どうも自転車に興味の無い一般の人の間では「サイクリング」という言葉はかなり死語化しており、「サイクリング」と聞くと夏の軽井沢あたりで仲良しカップルのユミとケンジがおそろいのセーラーズのトレーナーに白のジーンズでレンタサイクルにまたがり「アハハ、アハハ。楽しいねっ、ケンジ。」「ああ、本当だねユミ。もう間違いなく楽しいよ。アハハ、アハハ。」などという会話をしながら湖畔をのんびりポタリング、みたいなものを想像するようだ。それもサイクリングには違いないだろうが我々が意図するものとは程遠いものである。
確かに「サイクリング」という言葉は若干古臭くて野暮ったく、昭和の匂いがする言葉という気はする(特に会話において使用する場合その傾向は顕著であろう)。では平成の世に生きる私たちが趣味でスポーツ自転車に乗ることを何と表現すればよいのだろうか。
「ツーリングに行く」 これでは自転車でなのかモーターサイクルでなのか、その手段が分からない。一般的に「ツーリング」と言えばモーターサイクルでのツーリングを想像する人が多いのではないだろうか。やはり「自転車で」という最もアピールしたい点が伝わらないのは痛い。
「自転車で走りに行く」 「何で?」と言われそうだ。これだと「自転車に乗ることは楽しく、それ自体が最大の目的なのだ」というメッセージが希薄である。
「ポタリングに行く」 昨今の自転車ブームでポタリングという言葉もちらほら聞くようにはなったがまだまだ一般の人の間での認知度は低い。それに常に自分の限界に挑戦し、高い運動強度でガッツリ走る人にとってポタリングというのんびり、まったりしたイメージを持つ言葉でそのストイックな行為を表現することにはかなりの抵抗があるだろう。
荒技としては「バイキングに行く」という案もある。サイクルに乗るからサイクリング、バイクに乗るならバイキング。文法的にも全く問題ない。ただこれだとまず間違いなく「食べ放題」に行くと思われてしまうという難点がある。
うーむ、悩ましい。私としてはやはり「サイクリング」という言葉が現代社会において再び市民権を得ることを願ってやまない。
評 価→★★★★★(彼女とのんびりポタリングもちょっとやってみたい・・・)
<オプション> 年 式→昭和
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