購入価格 PRS-21本体 £201.06 BAG-20 £15.28 + 送料£25 @ CRC
CRCの全品対象10%offセール戦利品。
かつてDiscovery ChannelとPark Toolが本気出して作った携行型リペアスタンドの名作PRS-20のパイプ類をスチールからアルミに替えてダイエットさせたスタンドです。別にレース会場に持ち込んだりするわけではないけれど、場所を取るリペアスタンドを出しっぱなしにしておけるほどのお屋敷に住んでいるわけではないので使わない時は畳んで部屋の隅っこに置いておけるコンパクトさは非常にありがたいし、外で洗車する際にも活用するつもりなので軽いにこしたことはありません。しかも、プロツアーチームのメカニック達がバイクを弄っている写真や映像をみると、ほとんど決まってと言っていいくらいこのPRS-21が映っていて高い使用率を物語っています。というわけで、走ることと同じくらいバイクをいじり倒すのが好きな私はずっとこいつを狙っていたのでした。
本体重量は実測5.7kg(バッグ290g含まず)。カタログ値より大分軽いのは、多分水平ビームがスチールからアルミに変わったことが原因でしょう。IKEAあたりで買ってくる家具同様自分で組み立てなきゃならないのですが、コーヒーでもすすりながらノンビリ組んでも30分もかからないでしょう。しかし鼻歌交じりでチャカポコ組んでいくその過程で、段々このスタンドの凄さを思い知ることになります。細部まで徹底的に考え抜かれ、不要なパーツは一切削ぎ落とした上でショップフロアで使われるリペアスタンド以上の機能が盛り込まれています。どのくらい徹底しているのか? 例えば、クイックリリース。
フロント用とリア用で変えてあるのはシャフト長だけではありません。よーく見て下さい。
フロント用はレバーのカム比が大きくなっています。何故か?? フロントフォークのドロップアウトには脱落防止用のツメ(lawyer tabと呼ばれるでっぱり)があり、ナットをかなり緩めないとホイールが脱着できない構造になっているのは誰もが知っていることでしょう。一秒を争うピットでちまちまナットを回さなくても済むように、カム比を大きく取ってレバーの開閉のみでフォークの脱着ができるように工夫されているのです。万事がこの調子、徹底的に煮詰められていてボルト一本に至るまで一切手抜かりがありません。一通り機能を確認した後で、ウルフ金串戦でジョーのトリプルクロスを見せつけられた力石ばりに"本物だった…本物だった…!!"と喜びに震えましたよ私は。どうしてもっと早く購入に踏み切らなかったのか。
以下、このスタンドの機能を写真と共に列挙してみます。
・畳むと全長84cmになるコンパクトさ。軽さも相まって持ち運びや設置・撤収が非常に楽です。
バッグから取り出してトライポッドを広げ、クイッククランプを開けて中央支柱を引き出し再びクイックを締める。
水平ビームを跳ね上げてピンを一本差し込めば設置完了。
一度仕組みが頭に入ってしまえば、畳まれてバッグに収納された状態から取り出してバイクマウント可能な状態にするまで1分とかかりません。
・脚部、中央支柱、水平ビームはアルミ製ですがブラケットやピボットはスチール製。負担のかかる部分はちゃんと強化されていて、各組付部やジョイントの精度も高いのでガタツキは一切無し。
・クイッククランプを開閉すれば素早く中央支柱の高さを調整できます。BB位置が地上71cm〜96cmの間で可変しブレーキの調整・ドライブトレーンの調整など作業する箇所の高さが変わっても屈んだり手を伸ばしたりする必要のないストレスフリー設計。
・トライポッド中心を軸に水平ビームが360°スイングする。ノブを締めれば固定も出来ます。設置場所がオープンスペース(4m四方は欲しい)ならば、一歩も動かずにフレームの反対側に一瞬でアクセスできます。洗車がものすごく楽。
・バイクをマウントする際にはフロントあるいはリアどちらかのホイールを外してドロップアウトをクイックリリースでクランプする。
開発に携わったDiscovery Channelに敬意を表して、Trek5200 USPSに乗っかってもらいました。BB部を保定するストラップを締め上げると、BBを支点とする梃子の原理でバイクは完璧に安定します。BBカップ周りの作業も問題なく行えます。クイックリリースはリア用・フロント用の2本が独立してスライディングブロックに備え付けられていて、ノブを緩めてスライドさせるだけで位置調整できます。工具は一切不要。
実戦で磨き上げられているだけあって、ホビーで使う私ごときが指摘できるような欠点は思い当たりません。£200超のプライスタグも、整備が圧倒的に楽で安全になることを考えればバーゲンプライスだとしか思えません。強いて欠点をあげるなら、使用されているボルトがインペリアルとメートルで混在している点くらい。組立に必要なのは7/16インチのソケットまたはレンチ2本と、10mmのソケットまたはレンチ2本。無ければモンキー2本で上等です。あと6mmと4mmヘックスレンチ、組付用万能グリスも用意しましょう。
最後に。バッグは是非同時購入しましょう、移動に保管にととても便利です。
価格評価→★★★★★(全く惜しくなどない)
評 価→★★★★★(躊躇う必要などない)
年 式→ 2010年
カタログ重量→ 13.5lbs=6.2kg (実測重量5.7kg+290g)