購入価格: ¥11,095 (税込) ※CRCで購入。現在は取り扱っていない
標準価格: ¥18,468 (税込)
『軽量だが剛性が確保されており、短い距離でしっかり止まれる。デザインまで含めたトータルでの満足感が高いブレーキ』
■ SRAM Force Mechanical Brakesetとは
SRAM Force Mechanical Brakesetは、その名のとおりSRAMのセカンドグレード”Force”のキャリパーブレーキだ。Forceのグループセットにはリア10速の”Force”とリア11速の”Force 22”がラインアップされているが、キャリパーブレーキは同じモデルが使われている。現行のダブルタップレバーやSRAMのロード用のブレーキレバーに対応する。
Forceはロード用のキャリパーブレーキとしては一般的なデュアルピボット式が採用されている。冷間鍛造されたアームは肉抜きされており、表面はアイスグレーのアルマイトによる仕上げ。SWISS STOPのブレーキシューが標準装備されており、シューホルダーはトーイン調整が可能だ。また、スプリングテンション調整ボルトを備えている点も見逃せない。
SRAM Force Mechanical Brakeset
■ 購入のきっかけ
私はシングルスピードにロード用のドロップハンドルを導入する際に、ブレーキレバーのSRAM S500と同時にForceのキャリパーブレーキを取り付けた。SRAMのブレーキを選んだのは、デザインを優先したかったから。以前使っていたのがよく効くシマノのBR-5800だったので、できるだけ性能が低下しないように、思い切ってセカンドグレードのForceに決めた。
ブレーキレバーはSRAM S500を選択
■ デザイン
SRAMのコンポーネントは、デザインが洗練されている。Forceは一見すると何の変哲もない変哲もないシンプルなキャリパーブレーキだが、前後に厚みがなく上下にすらっと伸びた形状はまさに造形美といった感じ。アイスグレーのアルマイトも高級感がある。シューホルダーは光沢感のあるブラックになっており、ブレーキシューにはSRAMのロゴが入るこだわりようだ。
シンプルで高級感のあるデザインは、愛車を引き立ててくれる。他のコンポーネントのカラーがブラックでも、Forceのアイスグレーは意外に違和感がない。ブラックのキャリパーブレーキよりも見た目に重たくないのに、しっかりと存在感があるのがいい。
GIANT FIXER RにForce Mechanical Brakesetを装着
■ 重量
カタログ値でForceの重量は前後で280gしかなく、軽量化に貢献する。実測ではフロントが138.5g、リアが140.5gの合計279gとさらに軽い。以前使っていたBR-5800は388gだったので、前後で108gほど軽量化したことになる。ちなみに、BR-6800は335g、BR-R9100が326gなので、Forceがいかに軽いかがわかる。軽量化によるブレーキ性能への影響が心配だったが、実際にはしっかり効くので安心した。
軽量化のために肉抜きされたアーム
■ 制動力
安全に止まるための十分な制動力を備えており、軽くレバーを引いても短い距離でしっかりと止まれる。思いっきりレバーを引けば、後輪をロックさせることも可能。制動力が高いので、気持ちにゆとりを持ってブレーキ操作ができる。指が痛くなるほどレバーを強く握らなくても、ちゃんと止まれるのは非常に心強い。
Forceの重量ではキャリパーの剛性不足による制動力の低さが心配だったが、十分に高い制動力が発揮できる剛性はちゃんと確保してある。ただ、ブレーキの効きに関しては、キャリパーの剛性感よりもSWISS STOP製のブレーキシューの方が印象的で、ゴムっぽい感触のブレーキシューがリムをがっちりとつかむような効き方だと感じた。
さすがに指1本でレバーを引くだけでは十分な制動力を得られないが、ほとんどの状況では指2本を使うだけで済む。短い坂を下る程度なら、レバーの下方に指をずらしたり指3本で引いたりするだけでも大丈夫。ブレーキのために下ハンを握るのは長い坂を下るときくらいで、私は約40km/hくらいまで対応できた。これ以上のスピードでは試していないが、キャリパーの剛性がどう影響するかは気になるところだ。
制動力はシマノのキャリパーブレーキにも遜色がなく、アームが短く剛性の高いBR-5800には及ばないものの、ブレーキシューをR55C+1に交換したBR-5800よりも明らかに効きがよく、BR-5700と同等かそれ以上に効くと感じた。完成車に付属するTektro製とは比べものにならないほど。ただ、当然ながら、ロード用のディスクブレーキやシマノのVブレーキの効きには劣る。
ブレーキシューはSWISS STOP製
■ コントロール性
ブレーキシューがリムに当たってからの制動力の立ち上がりがマイルド。握っただけリニアに制動力が高まり、スピードのコントロールがしやすい。急ブレーキでもないかぎりは、突然ブレーキが効くようなこともなく、高い制動力を安心して扱える。
高いスピードで強めにレバーを握ると、Forceは特に急激に制動力が立ち上がりにくいように思える。キャリパーやブレーキシューがたわむことで、レバーの力を逃してコントロールしているような印象。BR-5800はキャリパーやブレーキシューのたわみが少なく、繊細なレバーの操作でスピードをコントロールしているような感じだったが、Forceはレバーをギュッと握りこむことでコントロールしている感じだ。
■ ブレーキタッチとレバーの引きの軽さ
Forceのブレーキタッチは、シマノとは大きく異なり、好みが分かれるところ。特にBR-5800はカチッとしたブレーキタッチだが、Forceではクニュッとしたブレーキシューのゴムっぽさを感じる。それでも、基本的にキャリパーの剛性は高いので、ある程度カチッとしたブレーキタッチを出すことも可能だ。
レバーの引きは軽く、握力の負担にならないのが快適。SRAMのレバーにはリターンスプリングがない上、Forceにはスプリングテンション調整ボルトを備えていることが、レバーの引きの軽さに貢献している。だが、BR-5800の引きの軽さには及ばない。
ただ、ブレーキタッチもレバーの引きの軽さもセッティングが大きく影響し、セッティング次第ではクニュッとしたブレーキタッチが強く出たり、レバーの引きが重くなったりする。なお、セッティングについては後述する。
Forceのスプリングテンション調整ボルト
■ 静粛性・リムへの攻撃性・耐摩耗性
SWISS STOP製の柔らかいブレーキシューのおかげで、カサカサとした音鳴りやブレーキの鳴きが生じないので快適だ。リムへの攻撃性も低く、強くブレーキをかけてもブレーキシューにリムの破片が突き刺さるようなことはなかった。ブレーキシューが柔らかい分、摩耗もそれなりに早いようだが、R55C3やR55C+1といったドライコンディション用のブレーキシューと耐摩耗性が大きく変わるわけではなさそうだ。また、ブレーキダストが付着しにくいのか、ブレーキ周りはきれいな状態が続いている。
■ 片効きについて
BR-5700は使っているうちにキャリパーが傾いて片効きの原因になり、センタリング調整ボルトで頻繁に片効きを直す必要があった。Forceでも同様のことを心配していたが、今のところ片効きは一切生じていない。Forceには”ギザワッシャー”が付属しており、キャリパーが傾きにくくなっている。センタリング調整ボルトにはねじ緩みどめ剤が塗られており、走行中にこのボルトが緩んで片効きになる心配はなさそうだが、念のため低強度のねじ緩みどめ剤を塗り直しておいた。
ギザワッシャーのおかげで片効きしにくい
■ セッティング
ブレーキタッチを良好にし、なおかつ、レバーの引きを軽くするためには、いくつかのコツが必要だ。この点はシマノよりも面倒だが、Forceのセッティングの幅は広いので、好みのフィーリングが見つかりやすい。セッティングの詳細は以下のとおりだ。
●左前、右後ろの組み合わせ
日本では右レバーにフロントのブレーキ、左レバーにリアをつなぐのが一般的だが、Forceではケーブルの曲がりが強くなっ抵抗が大きくなり、レバーの引きが重く感じる(特にリア)。そこで、右レバーにリア、左レバーにフロントをつないだところ、ケーブルの曲がりが緩やかになり、引きが軽く滑らかになった。いわゆる”左前、右後ろ”の組み合わせだが、意外に違和感なくレバーを操作できる。
●スプリングテンション調整ボルトを締める
SRAMのレバーにはリターンスプリングがないため、Forceのスプリングテンション調整ボルトを最弱にするとレバーの戻りが悪くなり、のっそりとしたレバーの動きが指に伝わって不快だ。スプリングテンション調整ボルトを締めることでこれは解決する。なお、少々締めたくらいでは、レバーの引きは重くならない。
●トーイン調整は必ず行う
シマノに比べるとトーイン調整の角度が非常に小さいが、トーイン調整の有無でブレーキタッチが全く違ったものになる。トーインをつけなければブレーキシューがリムに引っかかったような感じになるが、トーインをつければスムーズなブレーキ操作が可能になる。
●ブレーキシューが広く当たるようにする
ブレーキシューの上部や下部のみがリムに当たると、クニュッとしたブレーキタッチ出やすい。ブレーキシューの上部から下部まで広くリムに当たるようにすれば、カチッとしたブレーキタッチを味わえる。
●シュークリアランスを均等にする
左右のシュークリアランスが均等ではない場合、レバーを強く握りこむとリムがどちらか片側に寄ってグニャッとしたブレーキタッチになる。センタリング調整ボルトを使って、左右のシュークリアランスはきっちりと均等にすることを心がける。
●シュークリアランスを大きめにとる
シュークリアランスは1〜1.5mmにするように指定されている。私は最大の1.5mmにしている。最小の1mmでは、レバーを握ってすぐに、ブレーキシューのクニュッとしたゴムっぽさが伝わると感じたからだ。
“左前、右後ろ”にするとレバーの引きが軽くなる。効果の高いセッティング
■ 総評
SRAM Force Mechanical Brakesetは、軽量化と制動力を高いレベルで両立している点が素晴らしい。短い距離でもしっかりと止まれる上、コントロール性も高い。性能面ではBR-5800に及ばないものの、重量を考えればForceも高性能。デザインならForceに軍配が上がる。その他の点でも満足感が高いが、クニュッとしたブレーキタッチは好みが分かれるところ。これは調整次第でなんとかなる。個人的には、性能重視ならシマノ、軽量化やデザインも優先するならForceといった選び方。見た目と性能の両方を求めるならオススメのブレーキだ。
価格評価→★★★☆☆ (海外通販がお買い得だった。国内価格なら星2つ)
評 価→★★★★★ (シマノとはまた違った魅力。デザインだけでなく性能も素晴らしい)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→280g(実測でフロントが138.5g、リアが140.5g)