購入価格 ¥CULT代+DLC代+組み付け代
もういまさら感があるけれど、カンパニョーロのベアリングシステム。
CULTとはCeramic Ultimate Level Technologyの略で、発表当時のPRでは、毎分500回転(約60km/h相当?)で回した後放置すると約45分回り続けたとかいうふれこみであった。
製品内容は従前発売されていたUSB(ULTRA SMOOTH BEARINGS:カンパの説明では市販されている最高水準の精度という話なのでおそらくG3相当ベアリング)のボールレースを硬質でかつ耐食性のあるものに変え、グリスを不要としたものである。グリスの抵抗は結構あるようで、ホイールの空転においてはかなりの差を体感できる。(カンパ社の情報によれば従前の製品との差は1/9とか)
もう発売からしばらく経ち、ユーザーの数も増えているので、実態は分かりつつあるが、
CULTに変えても最高速度や巡航速度は変わらない。ただ追い風時や低速域での惰性走行速度、同距離が若干伸びる程度のメリットがある。
理由についてはふじいのりあき氏著「ロードバイクの科学」やマックス・グラスキン氏著「サイクルサイエンス」並びにCBNにおけるGlennGould氏の「自転車の走行抵抗について」を読んだ方には明快である。自転車走行の抵抗は30km/h走行時約8割を空気抵抗が占める。ベアリングの摩擦抵抗は空気抵抗のように速度に累乗比例するわけでもない上、抵抗値そのものは大変小さく、タイヤの転がり抵抗のさらに約三桁分の1くらいに過ぎない。
つまりCULT化を試みるよりタイヤをより高性能にしたり、空気圧を適正に保つ方が抵抗値は下がることとなる。
さはさりながらw。CULTって自転車乗りには文字どおりカルトチックなものなのでオイラもやってみたさ。ただやるのもなんなので、ボールレースにDLC加工をして表面硬度を上げ、さらに耐久性を上げてみた。グリスは必要ないけどオイルは必要とのことで、極圧性能1tのナスカルブのオイルを使用。おおー。鋼球ベアリング時(ハイペロンウルトラ)に比べ、確かに空転時間は伸びてます。「いい加減もうわかったから」っていうくらい回る。
(カンパのウルトラ系カーボンハブを開けてみると、あまりの簡略構造のため、雨の中走る気持ちはなくなります。)
それを踏まえた上で鋼球からCULT化したハイペロンウルトラ(前輪)+G3ベアリング+クライトックスからCULT化したBORA ULTRA(後輪)で実走実験。
結果は・・・・。うーん。ホント微妙。約100キロ区間走行時(巡航速度大体30km/h)のログを見てもここ数回で同コースを走った平均速度が1~2キロ速くなってはいるものの、これは風向きや体調による誤差の範囲内なのでなんとも。過去1年の平均速度の区間記録を超えたわけではない。やはりホイールの空転と実走時の感覚はイコールではない。(まあ、劇的に変わるくらいならUCIルールが変わっているよね。)
ただ、気分はいいし、ヒルクライム時も「やることはやってるんだし」的な安心感から踏ん張れる気がする。また、追い風時の惰性による走行速度が速く、惰性時間も長い気がする。
まとめると。最初からCULT装着製品を買うのはあり。従前の製品をCULT化する必要は特にないと思う。差は僅差。ただ、お金がかかること以外、特段のマイナスはない。気分は良好。
価格評価→★★★☆☆(オイラ、チェーンとかタイヤとかケチるくせにこういうのとか湯水の如く使ってしまう。)
評 価→★★★☆☆(超スムース。でも漕いだ分だけ進むことは変わらない。)