バックミラー3種比較
【目的】
3種のバックミラー(バーエンドミラー/アームミラー/ヘルメットミラー)を同時に身に着けて、それぞれの利点・特徴を検証する。
【経緯】
ロードバイクでも自動車と同様に、バックミラーを装着することで後ろを振り返る回数を減らすことができる。 もちろん右左折時や路上駐車を避けて走行する前にはミラーがあっても振り返って後方確認を行うが、ミラーを着ければ例えば直進中に後方からエンジン音が聞こえた時などに何度でも姿勢を崩さず後方確認が可能となる。
さて、私個人は数年前にゴムバンドでハンドルバーに装着するバックミラーを購入していたが、下ハンドルの邪魔になる上に自転車を壁に立てかけるだけで頻繁に角度がずれるため、不便さを感じてバックミラーを使っていなかった。 私は自転車のバックミラーと言えばハンドルに取り付けるタイプとバーエンドに埋め込むタイプしか知らなかったが、先日自転車屋でハンドル以外に取り付けるタイプのバックミラーを知った。
ブルベや通勤で不便なく使用できるバックミラーがあれば、運転を妨げることなく安全性を高められることを期待して情報収集後にミラーを購入した。 どのタイプがロングライドや通勤用途に使いやすいのか調べるために、今回購入した下記の3種について比較しながらレビューを行う。
[BM-45] CATEYEのバーエンドミラー [Cat Hand] Cat Handのリストバンド型アームミラー [Z EYE] Zefalのヘルメットミラー
【購入前アンケート】
バックミラーを購入する判断材料として、Twitterでアンケートを取ったところ、下記の結果となった。
質問内容 「バーエンドミラーは腹に阻まれて見づらい。バンドで固定するタイプはずり落ちるから苦手」なんて言う(単純にミラーのスキル不足な)マシュマロおっさんの私に、オススメのバックミラーを教えてください!
投票数35票
20票(57%) バーエンドミラー一択 9票(26%) アームミラーこそ腕の可動域最強でアーム 5票(14%) 漢は黙ってサングラスミラー 1票( 3%) ヘルメットミラーぜふぁーる!(Zefal Z)
質問者のフォローの傾向から、回答者にはブルベ達成者や長年自転車に乗っている者の割合が多いと予想される。 ただし表記の通り恣意的な内容の質問と選択肢であり、サンプル数も35であるため、統計的価値が低い点は留意されたい。
【結果】
それぞれの商品について、下記観点からの評価と感想を記述する。 ★の個数が多いほど高評価とする。
・鮮明…目視して細かい/遠いものが鮮明に映る度合い ・視野…確認できる視野角の広さ ・視線…目視するために首や視線を動かす量 ・振動…走行時にミラーが振動する度合いの少なさ ・装着…走行前に装着や角度調整する手間の少なさ
評価のために使用したのは、朝と夜の通勤で1回と獲得標高750m程度のヒルクライム1回で合計距離70km程度なので、ごく短時間使用した時点の評価である。
[BM-45] 参考重量(Amazon記載) 35g 購入価格 \1,980-(自転車店で購入。Amazon参考価格は\1609-)
CATEYEのバーエンドミラー。 軽量で小さく、アンケート結果も良かったので購入した。
・鮮明…★★☆ ・視野…★☆☆ ・視線…★☆☆ ・振動…★★★ ・装着…★★★
鏡面が曲がっていないため、鮮明さや距離感で困ることはない。 ミラーのサイズが小さく、角度調整も高頻度で行えないため、視野は他の商品に比べて狭い。 バーエンドに視線を移すので、慣れないうちは首か視線を下に大きく移動する必要がある。 また、下ハンドルに持ち替えた際に若干手に当たって邪魔に感じることもまれにある。 視線移動は安全走行時の問題にはならないが、ダウンヒルなどの視界が悪い高速走行時にミラーを確認する余裕は少なくなる。
商品に付属している六角レンチで固定が可能であり、バーエンドキャップを外せれば素人でも簡単に固定できる。 1度固定すれば荒れた路面の振動で見づらくなることや外れる心配がなく、非常に安定感が高い。 壁に立てかけたり、ダンシングして膝が引っかかった時にミラーの角度を調整する必要はあるが、調整の頻度も手間も少ない。 自転車イベントの規約でバックミラーが禁止されている場合、取り外す必要があるので注意。
安定感、取り回しやすさが魅力で、通勤用バイクに装着して常用を薦めたい商品である。 私が求める通勤用バイクで使う際の要件に最も合致したので、評価は最大とした。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★★
[Cat Hand] 参考重量(Amazon記載) 120g 価格 \1,980-(Amazon)
凸レンズで視野角の広さが売りのアームミラー。 リストバンド型の類似商品より参考重量が軽量なので購入した。
・鮮明…★☆☆ ・視野…★★★ ・視線…★★☆ ・振動…★★☆ ・装着…★☆☆
軽量な割にミラーが大きく、かつ曲線を描いているため、実際の距離より離れて見える上にナンバーや運転手の視線まで鮮明に映すことは困難なので、慣れるまでは注意したい。 鮮明さとトレードオフで、視野角は優れている。見えない位置を確認したいときには肘を動かすことでかなりの角度をフォローすることが可能となる。 視線の移動量も右下をちらっと見るだけで済むのでストレスが少なく、ダウンヒルでも後方確認に使うことができた。 ただし前を向いて走行していても後方からのハイビームを反射して目に入ることがあるので、夜間の使用時には留意すること。 使いたくない状況では片手でミラーを閉じることもできる。
悪路で若干揺れるが、使用上問題があるほど振動することはない。 私自身はミラーを開いたまま飲食店で食事する勇気はないので、休憩のたびにミラーを外すか閉じる必要があった。 この商品はバンドの端が広く作ってあるために、着脱時にもたつく場合がある。 着脱せずにミラーを閉じるだけで済ませても、走行再開するときにミラーを開いて角度調整を行うので、装着や角度調整の手間を感じる時がある。 軽量で通気性も良いため、バンドをきつく締めすぎなければ装着した腕に違和感なく使用できる。
装着を手間に感じることなくロングライドの安全性を高めたい人のニーズに応える、手軽に使えてバランスの良い商品である。 ズボラすぎる私には着脱後の角度調整が少し面倒なので下記の表記とした。ズボラでなければ評価が上がると予想される。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★☆
[Z EYE] 参考重量(Amazon記載) 20g 価格 \1,296-(Amazon)
Zefalのヘルメットミラー。 ヘルメットに表面がマジックテープのシールを張り、ミラー付の棒をマジックテープで固定する。 サングラスよりもヘルメットに装着した方が振動が少なそうに感じたので購入した。
・鮮明…★★★ ・視野…★★☆ ・視線…★★★ ・振動…★☆☆ ・装着…★★☆
鏡面が曲がっておらず、目から近い位置にミラーがあるため鮮明さは随一で、すぐ後ろに停車した運転手の視線や表情も判別できる。 首を動かせばミラーの視界も変わるため、視野も悪くない。 運転前に危惧していた「ミラーの棒が視界を妨げる問題」は起こらなかった。 ミラーと棒は常に視野の右側にあるが、前傾姿勢なので前方5m程度の路上右端に棒とミラーが表示されている印象である。 もっと視野の先で路面情報を読み取っているし、首を少し動かせば棒で隠れていた位置も確認できるので邪魔に思うケースは少ない。 最大のメリットは首を動かさずに眼球を数度移動するだけで後方確認ができる点である。 車のバックミラーが常時付いているようなもので、後方に対する安心感は非常に大きい。 ダウンヒル時の後方確認もほぼノーリスクで行える。 個人的な感想ではあるが、常時微妙に振動するミラーが視界に入り続けることに慣れていないため右目が若干疲労したように感じた。 また車のライトを反射して眩しい確率も大きく、良くも悪くも常時ミラーが視界にあることでミラーの効果が強い。信号待ちの時に対向車のライトをミラーで隠すこともできなくはなさそうだが…。
振動は体が吸い取るものかと思ったが、粗い路面ではヘルメットが揺れるため振動は比較的大きかった。 走行時の振動でマジックテープが剥がれる心配は少なかったが、衝撃があると飛んでいきそうな不安感はあった。 それでも鮮明さと視線移動のアドバンテージで、振動があっても後方確認に困ることはない。 私はヘルメットの前方寄りにマジックテープ付シールを着けてしまったため、少し首を動かさないと後方確認ができなかった。 付属のシールは1枚のみであるため、装着位置は慎重に検討することをお勧めする。 着脱は容易であり、室内に入る時にヘルメットから外す必要もなさそうだ。 室内でヘルメットを持ち歩く際にミラーに体が触れて角度がずれるケースはあったが、その場合の再調整も容易である。
ミラーの自己主張は激しいが、その分効果も高い。後方確認の優先度を上げたいならば有力な選択肢となる商品である。 使用回数2回であり、ミラーが視界に入り続ける点に慣れなかったので下記の表記とした。 マジックテープ付シールを正しい位置に貼り、使い慣れれば評価も上がる可能性はあるが、そこまで検証できていない。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★☆
【まとめ】
今回の検証では3か所に着けるミラーをそれぞれ1種類しか確かめていないため、同一の位置に着ける商品でも別の商品ならばレビューと使用感が大きく変わる可能性があることを付言しておく。 いずれの商品にせよ、バックミラーが無いよりもあった方が安全性は高まると感じたので、ロングライドをする時にはバックミラーの使用を勧めたい。 個人的には通勤車にBM-45を着けておき、いわゆる決戦車でロングライドしたいときにはCat Handを腕に巻くよう使い分ける運用をしばらく行うつもりだ。
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