購入価格: 完成車付属品
標準価格: ¥ 5,824(税込) ※11-32T
『11速になっても、リアの変速と調整はスムーズ。11-32Tは平地から坂道まで対応する万能スプロケット』
■ GIANT DEFY1 DISCに標準装備のスプロケ
私の3代目の自転車「GIANT DEFY1 DISC」は、メインコンポーネントに「105 5800シリーズ」が採用されている。コンパクトクランクとワイドレシオのカセットスプロケットにより、ライダーの疲労を軽減し、オールラウンドに対応できる仕様だ。
DEFY1 DISCに使われている「CS-5800」は性能面では不安はなかったが、11-32Tという歯数構成がワイドすぎて平地では使いづらくないか心配だった。実際に走ってみると、坂道だけでなく平地にも対応する万能タイプのスプロケットで、ロードバイク初心者の私にはとても使いやすいと感じた。
SHIMANO 105 CS-5800 11-32T
■ CS-5800の仕様は「HG-EV」
CS-5800は、リア11速に対応するカセットスプロケットだ。歯数構成は11-28T、11-32T、12-25Tの3種類で、上位グレードよりもバリエーションは少ない。私のDEFY1 DISCには、11-32Tが搭載されている。
105には「スパイダーアーム」が採用されており、ロー側の大きなスプロケットの内部を、軽量なアルミ製のアームで支えることによって軽量化を果たしている。11-32Tではロー側3枚がスパイダーアームによって固定される。以前、シマノのサイトで閲覧できた用語集では、高精度な配置による変速性能の向上といったことも書いてあったような気がする。ギアの材質はスチールで、仕上げはニッケルメッキだ。
CS-5800を含めた11速用のカセットスプロケットは、「HG-EV」と呼ばれる仕様になった。10速用のHGスプロケットよりも幅が1.85mm広くなり、10速用と同様のアジャスト範囲を実現。10速と同じギア厚にすることで、耐久性も確保されているという。ただし、幅が広くなった分、10速用のフリーボディーに装着することはできない。このことは11速化の大きな壁になっている。
※以上はシマノのカタログとサイトを参照
中央の黒いアームが"スパイダーアーム"
■ 変速調整はシビアではない
実際にリアディレイラーを調整してみると、リア10速のDEORE XT T780シリーズに比べて調整がシビアになった印象はない。スプロケットの幅が1.85mm大きくなったおかげで、11速になっても特にチェーンがスプロケットに接触しやすくなったということはなく、各段音鳴りがしないようにセッティングすることができた。もし、従来のスプロケットの幅のままだったら、シビアな調整を強いられ、短時間で調整を終えることはできなかっただろう。
10速と同様にリアディレイラーの変速調整が可能
■ スムーズかつ正確な変速
リアディレイラーのRD-5800、HG-X11チェーンのCN-HG600-11のおかげもあって、変速は非常にスムーズで正確だ。リア10速のDEORE XT T780シリーズに似た変速のフィーリングで、スプロケットのグレードが高い分、105 5800シリーズの方がスムーズに変速するような気がしないでもない。ギア厚が10速と同じなので、チェーンがスプロケットにかかるフィーリングも似ている。
RD-5800、CN-HG600-11との組み合わせによる変速はスムーズ。KMC X11Lでも良好な変速
■ 坂だけでなく平地にも対応した11-32T
CS-5800の11-32Tは、 11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32Tという歯数構成になっている。ワイドレシオで使いにくいと思いきや、FC-5800 50-34Tとの組み合わせでは、意外に使いやすかった。というのは、クロスバイクのCS-4700 12-28TとDEORE FC-T611 48-36-26Tとの組み合わせで、私が常用する部分のギア比がほぼ同じだからだ。
この構成ではアウターギアでの18-16-14Tまでの歯数差がきついが、30km/h前後ならケイデンスの変化で急激にペダルが軽くなったり重くなったりということもなく、比較的楽に使える。ただ、ロードバイクの方がスピードが出やすく、以前よりも小さいギアも使うようになった。このことから、最適な歯数構成のスプロケットは他にもあるような気がしている。最適な歯数構成は今後の検討課題だ。
また、11-32Tには大きなローギアがついているので坂道も安心。私が住んでいる地域はほとんど平地なので、実際にはロー側2枚を使う機会は少ないが、今後の行動範囲を広げる可能性のある歯数構成だ。
思えば、クロスバイクに標準装備されていた8速用の11-32Tはとても使いにくい歯数構成だった。18Tの次は15Tと歯数差が3Tもあり、平地ではアウターギアはおろか、ミドルギアの位置でもケイデンスの急激な上下が生じてしまう。11速の11-32Tは平地での使いやすさを損なうことなく、坂にも対応するビギナーやホビーユースに向いた歯数構成であると感じた。やはり11速は歯数が多い分とても使いやすい。
(参考) SHIMANO ACERA CS-HG40-8Iのレビュー:
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=692&forum=28&post_id=19697#forumpost19697GIANT SEEK R3には8速の11-32Tを搭載。当然、11速の11-32Tのほうがはるかに使いやすい
■ 性能も歯数構成も満足
CS-5800は、リアのスムーズな変速操作に大きく貢献し、サイクリングを気持ち良く楽しむことができるカセットスプロケットだ。スプロケットの幅を広いおかげで、チェーンが隣のギアに擦って音鳴りすることなく調整することも難しくはない。10速用のフリーボディーには装着できないが、その分無理なく11速化を果たしていると感じた。欲をいえば、歯数構成のラインナップを増やして欲しいところだ。
11-32Tは平地での使いやすさをあまり損なうことなく、大きなローギアを装備し、11速になったメリットを享受できる。CS-5800 11-32Tは、性能・歯数構成の両方の面で使いやすいスプロケットで、意外に長く使いそうな気がする。今後は耐久性にも期待したい。
価格評価→★★★★★ (完成車付属品としての評価)
評 価→★★★★★ (スムーズな変速、使いやすい歯数構成)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→320g (11-32T)