購入価格 ¥8000
シーラントで有名なNotubesが出しているチューブレス(以下TL)互換のリム。MTB用に最もヘビーデューティなFlowを購入した。
MTB用でもいくつか種類があり、今回は軽量なArch EX(リム内幅21mm)と悩んだのだが、60mm前後のタイヤをメインに履く点、ダウンヒルトラックでも使用する点から耐久性と幅を考えてFlow EX(内幅25.5mm)を選んだ。なお、EXが付かないモデルもあるが、型落ちでデカールやプロファイルなどが違うため購入の際は注意が必要。
重量は前後2本で462g/482gとばらつきがあったが、公称値の490gよりは軽く仕上がっていた。リム幅を考えると非常に軽量な部類なのだが、これはBST(Bead Socket Technology)の関係でサイドウォールが低く作られている影響が大きいと思われる。しかし厚みは前作より14%増しているらしく、リム打ちしてもサイドウォールが変形しにくくなっているとの事。実際何度か派手にリム打ちしたが、嫌な感触はあったもののリムの変形は見られなかった。
BSTの効果は大きく、SchwalbeのTLR(Tubeless Ready)タイヤと組み合わせて使っているが、空気を抜いてもしっかりビードが嵌ったままになっている。一度チューブ入りで使用していた際に派手にリム打ちしてしまった事があるが、TLRタイヤ自身がある程度空気を保持してくれる為か、チューブに大穴が開いてからも数分程度は普通に走る事ができた。このようなケースでは空気が一気に抜けてビードが外れてしまうという場合もあるのだが、高速で下っている最中に突然タイヤのビードが外れるのは危険なので、クリンチャーで使用する場合でもBSTは有用と言えるだろう。
折角TLRタイヤを使っているので、低圧の恩恵が感じやすいフロントだけTL化してみたが、元々リム自身が対応している他、タイヤもある程度空気を保持してくれるお蔭で非常に簡単にコンバートできた。バルブ・専用リムテープ・シーラントは必要だが、ビード上げ作業はフロアポンプで普通にポンピングするだけで完了し、一度ビードを噛ませた後バルブコアを外してシーラントを入れて作業は終了。数日様子を見た後大きめの衝撃を加えてみたりしたが、全く不具合なく使用できている。なお、TL化する際は密着性や材質を考えると専用リムテープの方が適しているように思う。プラスチックテープのような素材で滑りが良く、非常に薄いためビードを上げる際にリムテープ周りでのトラブルが起きにくい。バルブに関しては密着性が高ければ何でも良いだろう。シーラントは家にあったCaffelatexを使ったが、これも問題は特になかった。シーラントの分量は良く分からないのでSchwalbeが推奨している下限あたりの60mlにしたが、全体に行き渡ったもののピンホールを塞ぐほどは残っていなさそうなので、Caffelatexの場合は片側100ml程度は用意しておいた方が無難だろう。
使用に関してはリムなので評価が難しいが、1年半使って特に変形や歪みは起きていない。先述の通りリム打ち耐性も高いので、どちらかというと軽量なレーシングリムに位置づけられるものの耐久性も十分といったところだろう。自転車仲間で一人Flow EXを曲げた人がいるが、スポークテンションが低すぎたのが原因なので、適正に組めばあまり手を掛けなくても長く使えると思う。
・まとめ
購入当時は幅と重量のバランスが頭一つ抜けているリムだったが、近年この辺りのレンジが急速に充実しているので、今選ぶなら他も選択肢もあると思うのだが、簡単にTL化できる点や、BSTによりビードがしっかりはまり込むという特徴は非常に評価できると思うので、値は張るが下りメインでしっかりしたホイールを組みたい人におすすめ。
価格評価→★★☆☆☆(物は良いが高い)
評 価→★★★★☆(アルミの中では最高クラス)
ちなみに、今回TL化した結果、250gのチューブが60mlのシーラントと入れ替わった形になったので、バルブ重量を差し引いても180g程度の軽量化が出来た。外周部の軽量化なので効果は大きいが、乗り味もダイレクト感が増すなど大きな変化が見られた。TLタイヤは重くあまり重量面でのメリットが無いのだが、TLRを使えば大幅な軽量化ができる場合があるため、最近は専らTLRの方が主流になっている。