購入価格: ¥540 (税込) ※50ml入り。AZ楽天市場店で購入
標準価格: ¥540 (税込)
『高級エステル、極圧剤、各種添加剤を配合した高性能オイル。ウェット系なのに汚れにくく、潤滑性・静粛性はトップレベル』
■ 高性能を体験したくて手に入れたオイル
AZ 自転車用チェーンルブ ロードレースSPは、プロ用に開発された本格的なチェーンオイルだ。高級な化学合成したエステルをベースに、極圧剤や各種添加剤を配合したものだ。同社のロードレースとの違いは極圧剤の有無で、ロードレースSPの方が耐久性・耐水性・耐摩耗性に優れており、より長い距離に対応できるようになっている。
私がこのチェーンオイルに興味を持ったのは、同社の超極圧・水置換スプレーの使用感が素晴らしかったからだ。エステルと極圧剤、各種添加剤の性能がこんなにすごいとは思わなかった。ロードレースSPもベースオイルはエステルで極圧剤、各種添加剤配合。超極圧・水置換スプレーとは違った高性能を体験したいと思って購入した。
写真: AZ 自転車用チェーンルブ ロードレースSP 50ml
■ 可動部に浸透しやすいオイル
ロードレースSPはボトル容器のノズルの先端をカットしてから使う。使い勝手はフィニッシュラインのボトル容器とほぼ同様で、精密な注油はできないが、一コマずつ注油することはできる。このボトル容器はノズルを取り外せるので、精密オイル差しなど他の容器に詰め替えることも可能だ。
早速、ディグリーザーで洗浄したチェーンに注油してみると、オイルがチェーンの可動部にスッと素早く浸透していく。フィニッシュラインのオイルがチェーンに乗ったままなかなか染み込まないのとは対照的だ。オイルはトロリとしているがベタつきがなく、ウェット系オイルの中ではサラサラしている方だと感じた。注油後にチェーン内部の汚れが出てくるのは、超極圧・水置換スプレーと同様だが、ロードレースSPの方が粘度が高い分ペーパータオルに染み込むオイルは少なめだ。尚、臭いはほとんどしないので、室内作業もOKだ。
写真(左) : 高い浸透性が特徴。この後余分なオイルを拭き取れば作業は終了だ
写真(中央): ノズルの先端をカットして使う
写真(右) : ノズルを外せば他の容器に入れ替えやすい
■ 非常に高い静粛性。無音に近いレベル
注油後試走してみると、漕ぎ出した瞬間からロードレースSPの特徴がはっきりと伝わってきた。走行時の風切音がない住宅街での低いスピードでも、このオイルなら無音といっていいくらい静か。超極圧・水置換スプレーもほぼ無音と表現したが、静粛性は僅差でこちらの方が上。極圧剤や各種添加剤は超極圧・水置換スプレーにも配合されているが、粘度が高い分こちらの方が静かなのだろう。
ロードレースSPはプーリーとチェーンの接触音が小さいのも高いポイント。これは超極圧・水置換スプレーよりも上。チェーンが斜めになるような無理がある状態でも、ノイズが全然気にならないレベルだ。終始チェーンノイズが気にならないのは本当に快適。注油直後なら他のオイルでもある程度は静かだが、このオイルはレベル違うといってもいいだろう。
■ 滑らかで上品なペダリングだが、注油直後は何故か動きが重い
ロードレースSPは潤滑性も非常に高い。超極圧・水置換スプレーのようにヌルヌルと滑らかに動くが、ロードレースSPの方が粘度が高く、ペダルを踏み込んだ時にクッション性があるような感覚だ。この柔らかい踏み心地は、チェーンノイズの潤滑性と相まって上品で高級感のあるペダリングを実現している。ダンシングの強い踏み込みでも、チェーンやギアの軋みを感じない。これは極圧剤が効いているようだ。
ただ、注油直後はペダルが重い。ギア一枚分重いと感じたが、これは大袈裟な表現ではない。シマノのチェーンに最初から塗布されているオイルに似た重さだ。50km過ぎたくらいから徐々に重たさはなくなり、100km過ぎたら軽さも感じるようになった。オイルを変えたばかりで馴染んでいなかったのか、前のチェーンオイルが軽すぎたのか、原因はよく分からない。その後、チェーンオイルを継ぎ足しても、チェーン洗浄後に注油しても特に問題なく快適に使えている。
写真: 坂が多い大町梨街道周辺でもチェーンの動きが滑らかで快適だった
■ ウェット系にしては汚れにくい。きれいに保つことも可能
このオイルはベタつきが少ないため、川の土手を走行した直後でもあまり砂埃が付着しない。粘度が高い分、超極圧・水置換スプレーよりはわずかに砂埃を吸い寄せやすいが、以前使っていたWAKO’SやKUREのセミウェット(ハーフウェット)よりもずっと汚れが付着しにくい。以前、メーカーにベースオイルのエステルについて問い合わせたところ、ベタつきが少ないのがエステルの特徴らしい。また、走行後は可動部から黒い汁が滲み出てくるが、超極圧・水置換スプレーより粘度が高い分滲み出る量は少ない。チェーンステーなどに汚れも飛散しない。
これらの汚れは布やペーパータオルで拭き取れば落ちる。特に走行ごとにチェーンの汚れを拭き取れば、チェーンをきれいに保てるのでおすすめだ。チェーンの内側に入り込んだ砂利などは拭き取れないが、そもそもエステルが汚れを寄せ付けにくいので、当分の間はチェーンを洗浄せずに済む。
写真(左) : 20km走行後。注油直後は黒い汁が滲み出やすい
写真(中央): 110km走行後。しっかり拭き取ればもっときれいになる
写真(右) : 250km走行後。よく見るとチェーンの内側に砂埃が付いている
※接写で撮影しているので汚れて見えるが、遠目では汚れはあまり目立たない
■ かなり高い耐久性。長期間快適に使える
ロードレースSPは耐久性がかなり高い。250kmくらいまでは静粛性・潤滑性は共に問題なし。250kmを過ぎるとチェーンの方は大丈夫だが、チェーンとプーリーの接触音が少し気になるようになった。結局、300kmを一区切りにしてチェーンオイルを継ぎ足した。チェーンオイルを継ぎ足したら、プーリーの音が非常に小さくなり、チェーン自体も静かで滑らかな動きが戻った。
音が気になったといっても、これは完全に許容範囲内。まだまだ普通に使えるレベルだ。チェーンのオイルが切れてキュルキュルとした音が出るまでには、相当長い距離がかかると思う。快適に使うなら途中でオイルを継ぎ足した方が良いが、継ぎ足さなくても300km以上は問題なく使えるオイルだと思う。
■ 雨天での耐水性は未検証
基本的に腫れている時しか走らないので、雨天走行での耐水性に関しては検証していない。ただ、洗車の時にチェーンに水をかけた感じでは、オイルがシャバシャバ流れるようなこともなさそうだった。ロードレースSPは粘度を上がることで、雨でもオイルが流れにくいようにしているようだ。この点は同社のBank Blc-007も同様だ。終始雨天を走るのには向いていないが、突然の雨くらいなら十分に対応できるだろう。
尚、粘度が高いといってもベタつきは少ないので、チェーンディグリーザーで容易にオイルを落とすことができた。おそらく、パーツクリーナーや他のチェーンクリーナーでも同様にオイルを落とすことができるだろう。これが糸を引くほど粘度の高いオイルならこうはいかない。
写真: 水をかけ続けても油分がしっかり残っている
■ フリーギア内部にも注油
チェーンでの使用感が良かったので、White Industriesのフリーギアにもこのオイルを用いた。メーカーはドライ系のオイルを使うように指示しているが、長期潤滑や極圧性を期待してこのオイルを使うことにした。フリーギアでは使用感が分かりにくいが、少なくともKUREのセミウェットよりはしっかり潤滑してくれると思う。
写真: 長期間の潤滑を期待してフリーギアにも注油した
■ 非常に高性能なウェット系オイル
今までウェット系オイルは汚れを吸い寄せやすいイメージがあったので避けていたが、ロードレースSPはウェット系の割にはかなり汚れにくい。しかも、静粛性と潤滑性は私が使ってきたオイルの中ではトップレベル。使用開始直後は何故かペダルの重さを感じたが、しばらくすれば快適そのものだ。チェーンの汚れをマメに拭き取ってオイルを継ぎ足せば、長期間洗車しなくても、きれいなチェーンと快適な走行を楽しむことができる。これといった欠点がなく、各性能のバランスが高いレベルで取れているオイルだ。
正直、超極圧・水置換スプレーとどちらを使うか迷うところ。甲乙つけがたい。それぞれに違った良さがあり、デメリットも少ないのが迷っている理由だ。値段の割には良いオイルということではなく、単純に性能だけ比較しても他のメーカーのものよりも優れている。おそらく、他のメーカーではエステルと極圧剤を使ったオイルをこの値段では出せないはず。コスパの高いチェーンオイルとしておすすめしたい。
写真: オイルの継ぎ足しには精密オイル差しが便利
図 : AZ 自転車用チェーンルブ ロードレースSPの良い点と悪い点
価格評価→★★★★★ (AZらしいコストパフォーマンスの高さ)
評 価→★★★★★ (ウェット系の割には汚れにくく、しかも高性能)
<オプション>
年 式→ ー
容 量→50ml