購入価格: ¥13,510 (税込) ※Wiggleで購入
標準価格: ¥23,351 (税込)
『Chris KingのBBはやはり素晴らしい。車種がクロスバイクでもミドルグレードのクランクでも回転の良さを感じる』
■ 遂にクロスバイクにもChris KingのBBを導入
私はGIANT FIXER RというシングルスピードにSRAM S300 1.1 Chainsetというクランクセットを取り付けている。このクランクセットに付属するボトムブラケットをChris King BB Cup Setに交換したら、回転の滑らかさに大変驚かされた。この回転の素晴らしさは、外観同様にラグジュアリー。メンテナンスも容易で私のお気に入りだ。
あまりの素晴らしさに、私はGIANT SEEK R3というクロスバイクのもChris KingのBBを取り付けることにした。クロスバイクにChris Kingとはまさに酔狂。しかも、クランクはミドルグレードのDEORE FC-T611。だからこそ取り付ける価値があるのではないかと考えた。
Chris King Bottom Brackets Pewter MTB Shimano/SRAM/Truvativ
■ タイプはMTB用、カラーはピューターを選択
私のクロスバイクはシェル幅68mmで、クランクはシマノのフロントトリプルを使用。これに適合するChris KingのBBは、MTB用のシマノタイプだ。ただ、Wiggleで購入したものにはシマノとスラムの違いはなく、シマノのクランクと組み合わせるとスラムのスペーサーが余る。
SEEKはブラックのコンポーネントで統一しているので、当初はブラックのBBにするつもりだったが、ブラックはFIXERに使っているので面白くない。そこで私はピューター(pewter)という色を試してみた。ピューターはシルバーよりも黒みがかっているが、ガンメタリックとも違った色で、わずかにに紫がかったような感じの個性的な色だ。
MTB用には2.5mmの金属製のスペーサーが含まれる (左)
ピューターは紫がかったシルバーのような色 (中央・右)
■ 色々と注意しながら取り付け
MTB用のシマノタイプをシェル幅68mmのフレームに取り付ける場合、2.5mmのスペーサーをドライブサイドに2枚、ノンドライブサイドに1枚取り付ける必要がある。これはシマノ純正のBBと同様だ。
BBカップの取り付けには、Chris King BB Cup Setに互換性のあるBBカップツールが必要だ。私は前回同様、LEZYNE EXBBT-SOC TOOLを使用。ただ、前回はBBカップに少し取り付け痕が付いてしまったので、今回はメーカー指定の締め付けトルク40Nmと工具の長さからどの程度力を加えれば良いかを計算。BBカップに傷を残さずに取り付けることができた。やはり前回は強く締め付けてしまったようだ。
あとはクランクを取り付けるだけだが、日本の代理店であるSimWorksによると、左クランクのキャップを指定トルク以上の力で締め付けると、クランクを抜く際にベアリングが外れることがあるらしいので注意が必要だ。
ドライブサイドに2枚、ノンドライブサイドに1枚スペーサーを挿入。今回は傷つけずに取り付けられた (左)
取り付けに使用したLEZYNE EXBBT-SOC TOOL (中央)
キャップを締め込みすぎないように注意 (右)
■ 回転の滑らかさは想像通り。これぞまさにChris King
さて、実際にChris King BB Cup Setを取り付けて走ってみると、走り出した瞬間から回転の滑らかさがよく分かる。使用開始直後の当たりの出ていない段階でも引っかかりや抵抗を感じない。これぞまさにChris Kingといった感じで、想像通りの回転の気持ち良さだ。
スラムタイプと比べて際立つのが回転の軽さで、チェーンをつけない状態で空転させたときだけでなく、実際の走行でも軽く感じる。これはスラムとシマノのクランクの取り付け方による違いかもしれない。また、使用開始直後ではシマノ純正BBと同様にグリスの抵抗を感じると思ったが、Chris Kingの方が回転が軽いと感じた。ただ、シマノタイプは比較的回転が軽いというだけで、基本的に無負荷でクランクが長く回転し続けるようなものではない。強いて言えば、高いスピードで走って軽いのがChris KingのBBだと思う。
グリスが馴染んで当たりが出てくると、どの速度域でも軽さを感じるようになり、回転はますます軽くなる。だからと言って、いつもより早く走れているようには感じないのだが、漕ぐたびに回転の気持ち良さを感じるのは嬉しいことだ。
回転の滑らかさはさすがChris King ※イメージ画像
■ 今回は早めにグリスアップ
シングルスピードに取り付けたChris KingのBBは10ヶ月くらいしてからグリスアップしたが、今回はちょっと早めに3ヶ月くらいでグリスアップしてみた。前回同様、工具はChris King BB Injector ToolとAZのグリスガンを、グリスはシマノ プレミアムグリスを使った。分かってはいたが、晴天時の走行だけではグリスはあまり汚れていなかった。本来、私の使用頻度と使用環境では年に一度のグリスアップで十分なので、今回はやはり早すぎたかもしれない。
それでもグリスアップ後は、グリスの粘度が効いている分滑らかさを感じる。高精度パーツの引っかかりのなさのおかげか、粘度の高いグリスを使ったのに、意外にも回転に重たさを感じず、その後も滑らかさを保ってくれているような感じがした。Chris KingのBBに粘度の低いグリスは使ったことがないが、個人的にはシマノ プレミアムグリスのフィーリングが合っているようだ。
Chris King BB Injector Toolとグリスガンで簡単にグリスアップできる
■ BB Injector Toolを使わなくてもグリスアップ可能
尚、BB Injectorを使わなくてもグリスアップはできる。これはシングルスピードに取り付けたChris King BB Cup Setの話になるが、ドライブサイドのカップからジャリジャリした音が聞こえるようになったので、グリスアップし直すことにした。BB Injector Toolを持っていても、異物感のある場合は、スナップリングとゴムシールを外す必要がある。
まず、スナップリングを精密ドライバーのような先端が薄いもので取り外し、続いてゴムシールも取り外す。素材への攻撃性が低いパーツクリーナーでベアリングを洗浄し、乾燥したらグリスを充填。スナップリングとゴムシールを元に戻したら作業完了だ。
ただ、スナップリングとゴムシールは非常に薄く、変形や破損がないように相当慎重に取り外す必要がある。説明書には新しいスナップリングとゴムシールを使うように指示されているので、国内代理店のSimWorksからスモールパーツを購入しておいた方が良いと思う。また、スナップリングとゴムシールを取り外しても、グリスアップはBB Injector Toolを使ったほうが良い。というのは、この工具なしでは奥の方まで確実にグリスを充填できないからだ。
わざわざスナップリングとゴムシールを外してグリスアップしたのに、異音が解消することはなかった。それもそのはず。異音の原因はクランクとBBの間に噛み込んだ砂利だったからだ。これをきれいに拭き取ったら異音は解消。Chris KingのBBのシール性を疑った自分を恥じた。
スナップリングとゴムシールを外し、パーツクリーナーでクリーニングした状態
■ 車種を問わず愛着のある一台におすすめ
Chris King BB Cup Setは、クロスバイクには明らかにオーバースペックだが、高級感のある外観はクロスバイクのルックスを高め、軽く滑らかな回転はどの速度でも気持ち良さを感じさせてくれる。私は自分のクロスバイクが大のお気に入りなので、ちょっと良いパーツを取り付けて見た目と操作の快適さを高めているが、その中でもChris King BB Cup Setは特に大きな変化を感じさせるパーツだった。車種がクロスバイクでも、クランクがミドルグレードでも、Chris Kingの良さを存分に満喫することができて嬉しく思う。
現在はThread Fit 24 Bottom Bracketsという製品にモデルチェンジしているが、ショップによってはChris King BB Cup Setがセール価格で買える。愛着のある自転車のためには、車種を問わずおすすめできるボトムブラケットだ。
クランクアームの隙間からチラリ。目立ちやすいのでピューターにしたのは正解だった (左)
もちろん左から見れば存在感は抜群 (右)
価格評価→★★★★★ (旧モデルがセール価格で買えた)
評 価→★★★★★ (欠点が全く見当たらない。見た目、性能共に素晴らしいのひとこと)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→125g