購入価格: ¥33606 (税込)
『クロスバイクには十分すぎる性能。コスパの高いコンポーネント』
●はじめに
DEOREの個々のパーツは既にレビューしたので、このレビューはそのまとめになる。
クロスバイク用のコンポーネントとしてレビューしていく。
●クロスバイクのアップグレードに選んだのはDEORE
GIANT SEEK R3に1年間乗って、コンポーネントの換装に興味が出てきた。
クロスバイクのリアの変速が楽しく、9速以上にしてみたい思った。
8速と9速以上は互換性がないので、結局すべてのコンポーネントを交換することにした。
自分で調べるだけでなく、SEEKを購入したショップでコンポーネント換装について何度か相談し、
価格と性能のバランスを考えてDEOREにすることにした。
DEORE LXはシルバーのパーツが好みではなく、DEORE XTは価格の面でパスした。
Acera、Alivioは換装してもすぐに上位コンポーネントに交換したくなると思ったので選ばなかった。
ロードバイク用コンポーネントは、MTB系クロスバイクのSEEKには似合わないと思った。
コンポーネントの組み付けは、全てショップにお願いした。
工賃はいくらか忘れてしまったが、それほど安くはなかったと思う。
●劇的に軽いフロントのシフトアップ
SEEKのフロントの変速は、体重を指にかけて押し込まなければならないほど重かったが、
DEOREに替えてから、グリップに指をかけたまま軽い力でスパっと変速できるようになった。
シフトアップに必要な力が、何分の一にも軽減されたように感じる。
●パチパチと小気味良い変速が楽しめるリアの変速
DEOREのリアディレイラーは、変速ショックと作動音が小さく、聞こえないこともあるくらいだ。
シフターはパソコンのマウスのようなカチカチとしたクリック感があり、
動作の度に響くパチパチという音は、変速が決まった爽快感を与えてくれる。
リアの変速は頻繁に行うので、何度もガチャンという音や激しい変速ショックがあると不快だ。
その点DEOREは、気持ち良い変速フィーリングを味わうことができ、バイクに乗る楽しさが増す。
●DEOREグレードから採用されるツーウェイリリース
DEOREグレードから採用されるツーウェイリリースは非常に便利だ。
ブレーキレバーに人差し指をかけたまま、親指で解除レバーを押して変速できる。
人差し指で引いて変速するときには、指を一旦ブレーキレバーから離さなければならない。
素早い変速において、この時間差はとても大きい。
オプティカルギアディスプレイは、視認性を増すために斜めに配置されていると思うのだが、
それほど効果がなかったためか、M590-10では採用されていない。
●平地で使いやすい11-28Tのスプロケット
トップ側4枚がクロスしている11-12-13-14-16-18-21-24-28Tの構成は、
クロスバイクの平地の高速走行にとても便利だ。
8速のスプロケットは2T刻みだったので、このスプロケットになってだいぶ楽に漕げるようになった。
フロントはトリプルなので、このスプロケットで急な坂でも十分に対応できる。
●高剛性な2ピースクランクセット
「DEOREからはっきりと違いがわかる」といわれるのは、このクランクによるところが大きいと思う。
左右一体型中空軸クランクとシェルの外側につく外部BBのおかげで、クランクの剛性はとても高い。
ペダルを踏み込んだ時の力がロスせずに推進力に変換するのがすぐに分かった。
クランクの回転はとても滑らかだ。換装直後は回転が重いが、グリスが馴染むと軽くなる。
クランクは、中空構造ではなく裏が肉抜きされているだけなので、ホローテック2ではない。
しかし、同じクランクアームが使われているM590-10はホローテック2となっている。
SHIMANOに電話で問い合わせたところ、M590-10は2ピースクランクだとの答えだったが、
カタログでは未だにホローテック2と表記されている。
●全てにおいてTEKTROを上回るブレーキ性能
TEKTROのVブレーキも制動力は悪くないが、DEOREのブレーキを体験するとTEKTROには戻れない。
各パーツの剛性が高く、レバーを握った力が逃げないので、軽い力でかっちりと止まることができる。
握った分だけリニアに効き、繊細なブレーキコントロールが可能だ。
ブレーキレバーは、テーパーがついていて指にかかりやすくとても操作しやすい。
柔らかいシューのおかげでブレーキタッチが気持ち良く、リムを擦る音も少ない。
●部分的にDEOREをした場合と全てDEOREに取り替えた場合を比較すると...
コンポーネントを総取り換えする前に、ブレーキとディレイラー(8速で使用)のみDEOREにしていた。
部分的にコンポーネントを交換したら、どの程度性能が上がるか知りたかったからだ。
コンポーネント換装後、DEORE同士の相性には遠く及ばないことが分かった。
ブレーキは、レバーとパワーモジュレーターの組み合わせで、効きだけでなくコントロール性が増す。
ディレイラーは8速での変速性能と雲泥の差だ。8速では性能を出し切れてないと思う。
リアが1速増えれば快適になると思いコンポーネントをDEOREにしたのだが、
実際に得られたものは変速性能だけではなく、総合的な性能アップや快適性だった。
互換性を考えず8速用のディレイラー等で強引に9速にしたら、こんなに満足感していなかったはずだ。
●コストパフォーマンスの高いコンポーネント
DEOREは、クロスバイクには十分な性能で、しかもリーズナブルな価格だ。
コンポーネントが故障して交換することになっても、金銭的な痛手は少なくて済むのが助かる。
一番早く交換時期が訪れるチェーンも1,500円程度だ。
2013モデルでDEORE LXがモデルチェンジして10速化し、ブラックのカラーも選べるようになった。
XT同様にリアディレイラーは11-28Tに対応し、ULTEGRAのカセットCS-6700 11-28Tが使える。
ホローテック2のクランクセットは高いが、他はDEOREと価格差は大きくない。
DEORE、DEORE LX共に、クロスバイク/トレッキングにも使えるという位置づけなので、
これからクロスバイクのコンポーネントを換装する人は、DEOREと迷うところだ。
尚、9速のDEOREは、2013年のSHIMANOのカタログにも出ており、型落ちのモデルではない。
カタログには高パフォーマンスの10速とスタンダードな9速と紹介されている。
●最後に
今でも乗るたびに楽しさを感じているので、DEOREにして本当に良かったと思う。
また、コンポーネントの換装が色々と勉強と経験になった。
私のようにクロスバイクに長く乗りたいと思っている人には、おすすめのコンポーネントだと思う。
価格評価→★★★★☆ (コストパフォーマンスが高い)
評 価→★★★★★ (全てにおいて満足)
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→不明